M2Mを利用するためのシステム構築には従来、多大なコストがかかっていた。
M2Mシステムは、(1)データを取り込むセンサー・端末と、(2)ネットワーク(ゲートウェイ装置等を含む)、(3)データ・デバイスの管理等を行うシステム基盤、そして(4)そのデータを活用するためのアプリケーションの4つの階層に大きく分けられる。以前は、この(1)から(4)を個別に調達し組み合わせて、垂直型にシステムを構築しなければならなかったので、必要なコストと時間は相当なものだった。
この課題を解決するのが「M2Mプラットフォーム」だ。通信キャリアや大手SIerを中心に、M2Mに必要とされるデバイス管理や認証、データの管理・加工、そして上位アプリとの間のデータ連携といった機能を共通化してユーザー企業に提供する動きが本格化してきた。これを活用することで、前述の(3)システム開発・構築にかかっていたコストと時間を削減し、アプリ/サービスの開発に専念することができる。
こうしたM2Mプラットフォームの大半はクラウド型で提供されているため、ユーザーと端末数が少ない段階でもスモールスタートでサービス開始が可能になることもメリットだ。ユーザー数が増大した段階でも、容易に規模を拡張することができる。また、通信キャリアは国際ローミングサービスと組み合わせてM2Mプラットフォームの提供も行っており、M2Mサービスを国外に展開する場合にも、そのスピードが迅速になる。
ただし、M2M活用の裾野を広げるには、もう1つ解決しなければならない課題がある。
それは、前述の(1)センサー・端末と(2)ネットワークの領域だ。デバイスの機能はM2Mを活用しようとする企業の目的や用途を具現化する部分でもあり、当然、プラットフォーム機能のように共通化することは難しい。M2Mでは多種多様なデバイスが使われ、そこからデータを収集するためのネットワークについても様々な種類の無線通信技術が用いられることになる。企業ごと、サービスごとに、その要望に応じたデバイスやアプリ、ネットワーク機能を開発しなければならない。
しかもセンサー・端末の領域は、M2Mプラットフォームを提供する通信キャリアやSIerが苦手とする部分でもある。IT・通信業界とは異なる技術・ノウハウが求められるからだ。