現場の安全を守るミドリ安全のヘルメット装着型画像送信システム

安全衛生保護具業界大手のミドリ安全がヘルメット装着型画像送信システムの提供を4月から開始。遠隔地の作業現場でも管理者が画像をリアルタイムで受信できることから多様な業界での導入が期待される。

「ITインフラを活用して“安全・安心”の効率化を図りたい」。ミドリ安全 セフティ&ヘルス統括部営業部の縄野翔氏はこう話す。ミドリ安全は安全衛生保護具業界の大手で、安全靴やヘルメットなど安全衛生保護具の製造・販売を事業とする。直販体制を敷いており、顧客の声を直接吸い上げられることが大きな強みだ。これを基盤に「ユーザーの視点・現場の声こそが製品を進化させる」という信念のもとで開発に取り組んできた。

ミドリ安全 縄野翔氏
ミドリ安全 セフティ&ヘルス統括部 営業部 縄野翔氏

2013年4月から提供開始したリアルタイム画像送信システム「Weyes(ダブルアイズ)」もその成果の1つだ。主なユーザーは、1人作業であったり油や薬品を被ったりと危険が常につきまとう現場を抱えている電気工事業者や炉前作業者、機械設備業者などだ。

画像送信システム「Weyes」
画像送信システム「Weyes」。カメラをヘルメットに装着し、コントロールユニットとモバイルルーター「Wi-Fi WALKER DATA08W」を携帯して作業を行う。LEDライト付。1セット19万8000円

これまで、こうした作業を行う現場と遠隔地の管理者の緊急通信手段は、電話や無線による音声や転倒を検知して無線信号を送信する「転倒検知送信機」しかなかった。事故や急病時に、これらの通信手段では「いつ」「誰が」しか管理者は把握できず、「緊急時の対応が遅れる」という声を顧客企業から聞いたことがきっかけで開発された。

Weyesは、ヘルメットに取り付けたカメラが毎秒撮影する画像を携帯型のコントロールユニット(サーバー)に蓄積し、遠隔地のPCブラウザからWi-Fi通信またはWiMAX/3G回線を経由して、リアルタイムの画像およびサーバーに蓄積された画像を閲覧できるシステムだ(図表)。

図表 画像送信システム「Weyes」構成
画像送信システム「Weyes」構成

通信回線には京セラコミュニケーションシステム(KCCS)の「KWINS 3G Plus」を採用した。開発当初は画像のリアルタイム性を重視し、帯域制限がなく画像送信に適したWiMAXの利用を考えていた。だが、通信エリアが都市部に限られるWiMAXでは、作業現場が郊外にある場合つながらないという問題があった。

そこで、WiMAX/3G網を併用できるサービスを提案したのが、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)のKCCSだった。WiMAXの通信エリア外では、KDDIの3G回線「CDMA 1X WIN」に切り替えられるKWI NS 3G Plusを採用することで、国内のほぼ全域で運用が可能となった。また、ブラウザからアクセスするのに必要なIPアドレスの固定割り当てを行っていることも採用の決め手となった。

月刊テレコミュニケーション2013年12月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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