エリクソン――SDN/NFV対応ハードも開発しビジネス領域の拡大狙う
既存インフラと、OpenFlow等の新プロトコル/システムを統合する――。これが、エリクソンの「サービスプロバイダSDN」の核と言える。OpenFlowスイッチ等のSDN対応製品と、BGPやH.248等の既存プロトコル、インフラ設備を統合管理するために、マルチプロトコルをサポートするSDNコントローラを提供(図表1)、キャリア網全体にSDNを拡張する。エリクソン・ジャパンCTOの藤岡氏は「L2スイッチや光/パケットといった多数のノードを、1つのシステムとして制御することを目指している」と話す。
図表1 エリクソンSDNコントローラ |
このSDNコントローラを介してネットワーク機器を制御し、サービスを提供するためのノースバウンドAPIのオープン化、キャリア/サービスプロバイダ(SP)が必要とする機能を実現するネットワークアプリの開発も進める。これらが稼働するプラットフォームとして、「エリクソンクラウド実行環境」を自社ハードウェアに実装して提供する。
ルーター領域への進出狙う
データプレーン向けには今年中に、SDN対応のサービスルーター「Smart Services Router(SSR)」の新製品を出荷する予定だ。これと、コントロールプレーン用のサーバーシステム「Ericsson Blade System(EBS)」を使い、既存インフラから、仮想環境への移行を促していく。また、NFV対応も進めており、すでに仮想EPC(Evolved Packet Core)の実装も可能な段階という。
こうしたソリューションの開発によってエリクソンが狙うのが、他社製ノードの置き換えだ。特に、サービスルーターの機能をクラウド化することによって、シスコシステムズ等のルーターベンダーに対抗。藤岡氏は「現在のルーターベンダーのモデルを崩したい」と話す。
具体的なネットワークアプリケーションについては、来年度までに4種類を投入する計画だ。DPI(Deep Packet Inspection)やペアレンタルコントロール、NAT、ファイアウォールといった機能をクラウド化し、リソースを柔軟に配分できるようにする「サービスチェイニング」のトライアルをテルストラと進めている。
また、家庭内のホームゲートウェイの機能をクラウド上に集約する「バーチャルホームゲートウェイ」、アクセス網とモバイルバックホールにある多数のノードを仮想的に単一のノードとして集中管理する「バーチャルネットワークシステム(VNS)」、複数DC間を仮想ネットワークで接続する「DC間接続」を準備している。