【スクウェア・エニックス】UCを基盤に日々ワークスタイル磨く

社員が自由に交流できるワークスタイルを創りだそうと、UC環境を構築したスクウェア・エニックス。背景には、1人ひとりの創造性だけでなく、コラボレーションが求められる状況へと変わるゲーム開発の現状があった。

「各種の専門技術を有したナレッジワーカーが100人単位で協業し、コミュニケーションを取りながら1つの作品を作っていく。そうした働き方が求められるようになっている」

スクウェア・エニックス総務部長の岡田大士郎氏は、ゲーム開発・制作の変化についてそう話す。従来、ゲーム会社の多くはクリエイターが集中できる環境として、パーティションなどで半個室状態に区分けされたブース型の作業スペースを用意していた。以前は、それが社員の意欲を向上させ、人材を集める際の“売り”にもなっていたという。

だが、それは少人数でゲーム開発が可能だった時代の話。現在はデザイナーやプログラマのほか、プランニングやディレクションを行う者も含め、多種多様な人間が関わり合いながら1つのゲームを作り上げる。

同社の看板タイトルである「ファイナルファンタジー」を例にとると、ファミコン時代は10~20名程度で制作していたものが、現在は大規模なものでは数百名にも上るスタッフが関わるという。制作期間も数年に及び、まさにチームが1つの会社と言える。

「働き方を工夫して100人単位の人員を1つの部隊として力を発揮させなければならない。社員一人ひとりの能力を最大化させることに重点を置く従来の環境では限界が見えてきていた」(岡田氏)

自由に回遊できるオフィス

こうした課題を抱えていたスクウェア・エニックスは2012年10月の本社移転を機に、大掛かりなワークスタイル変革に踏み切った。

新本社の総面積は7400坪、1フロアが1800坪(約6000㎡)もあり、その広々とした空間が端から端まで見渡せる。高いパーティションはどこにもない。オフィスの各所にはオープンなミーティングスペースが設けられ、そこここで社員がコラボレーションしながら働いている。

これは、総務部と情報システム部が連携して新たなワークスタイルと、それを支えるファシリティ、ICTツールを総合的に検討して生まれたものだ。

スクウェア・エニックスのオフィス スクウェア・エニックスのオフィス
新本社に作られたラウンジ。食事をするだけでなく、集中して仕事を行うためのスペースや、来客とミーティングをする場所なども用意されている。一画でゲームを楽しむことができるのもスクウェア・エニックスらしい

この環境を作り上げるうえで重要な要素となったのが、多様な働き方を支えるコミュニケーション基盤だ。

フリーアドレス制は敷かれていないものの、自席を離れてミーティングを行ったり、ラウンジで仕事を行う人も多い。また、開発者同士の技術交流を活発化させる目的で大規模なセミナールームも設置しており、社内での移動は確実に増えている。

そのままでは、社員同士の連絡は非効率になり、例えばリーダーが進捗管理を行うためにメンバーを招集することさえ難しい。コラボレーションを活性化させるために社員が自由に回遊しつつも、必要に応じてコミュニケーションが迅速に行える環境が不可欠とされた。実現手段はUCとモバイルである。

月刊テレコミュニケーション2013年9月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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