【ピーエス三菱】 iPhone/iPadと自社開発アプリで受注増につなげる

橋梁や高速道路など、高耐震性と高耐久性が求められる建造物に有効なプレストレストコンクリート工法。同工法の日本におけるパイオニアでトップ企業でもあるピーエス三菱は、400台のiPhoneと150台のiPadを導入した。自社開発アプリで現場作業の効率化を図るとともに、入札時に要求される技術点を高めたことで受注増も狙っている。

ネットワークを簡素化し、運用負荷と通信コストを低減させたい――。

約1000人の従業員を抱え、全国に支店・営業所を構えるピーエス三菱は、複数の通信キャリアのモバイルネットワークやWANを利用していたため、ネットワーク構成が複雑化。障害復旧が遅くなるなどの課題を抱えていた。そこで同社はキャリア一本化によって、この課題を解消し、あわせてコストダウンも図る計画を立てた。その第一歩として取り組んだのが、モバイルネットワークの刷新だ。

モバイル機器2台持ちからiPhone1台に集約

従来、ピーエス三菱のモバイル環境は、KDDIの3G/無線LANデュアル端末、KDDIとは別のキャリアの3G回線を利用したモバイルWi-Fiルーター、ノートPCで構成されていた。3G/無線LANデュアル端末とモバイルWi-Fiルーターは、営業担当者300人と工事担当者600人のうち、利用を希望する者に対して貸与していた。

社員から挙がっていたのは、モバイルWi-Fiルーターの回線速度への不満だった。「もっと速いものに替えてほしい」という声が寄せられていたという。また、KDDIの3G/無線LANデュアル端末は生産終了となり、次に使う端末をどうするかという問題も生じた。

そこで、ピーエス三菱の情報システム部は、テザリング機能付きのスマートフォンの導入を検討し始める。「これなら、3G/無線LANデュアル端末とモバイルWi-Fiルーターを1台に集約することもできる。また、LTE対応のスマートフォンであれば、従来より速くデータの送受信が行える」と同社 管理本部 情報システム部 部長の佐藤覚氏は理由を説明する。

キャリアはKDDIを選択した。以前からKDDIのサービスを利用しており、そのサービスに満足していたからだ。採用するスマートフォンについては、iPhoneとAndroid端末を比較検討。その結果、同社が出した答えはiPhoneだった。

「iPhoneであれば基本的にスマートフォンを1機種に絞ることができる。加えてiPhoneは、アップルが管理するApp Storeからしかアプリをインストールできないため、安全性がより高いと考えた」(佐藤氏)

ピーエス三菱
(左から)ピーエス三菱 管理本部 情報システム部 主任の丹羽謙太郎氏、同部 部長の佐藤覚氏、同部 グループリーダーの吉川充洋氏

iPhoneでワークフローやビデオ通話も活用

2012年12月からスマートフォンの導入の検討を開始し、2013年1月にテスト導入。同年3月には400台のiPhoneを本格導入した。なお、「iPhoneよりもiPadの方が使い勝手がいい」という社員もいたため、その社員たちにはiPadを貸与。iPhoneに加え、150台のiPadを一気に導入した。

導入にあたっては総務部から、「iPhoneとiPadは、端末代や毎月の通信費が高い」という指摘も受けたという。だが情報システム部では、従来使っていたモバイル機器とは付加価値が違うことをアピールして説得した。

その付加価値を具現化するべく、情報システム部が行ったのがまず次の取り組みである。

iPhoneとiPadから社内イントラに接続し、メールとスケジュールを確認できるシステムを構築したほか、各種文書の承認を行えるワークフローシステムも整備。また、アップルが提供するビデオ通話アプリ「FaceTime(フェイスタイム)」を社内外との打ち合わせに利用し、移動時間の削減にも成功している。これらにより、営業担当者と工事担当者の業務効率は大きく向上したという。

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