ワイヤレスジャパン展示会場内で5月30日、中小企業モバイル活用フォーラム「『会社で使うタブレット・スマートフォン2013』刊行記念セッション」が開催された。
冒頭に中小企業のIT入門マガジン「COMPASS」編集長の石原由美子氏が挨拶し、書籍刊行の意図と中小企業の経営におけるモバイル活用の重要性を指摘した。
パネルディスカッションは「中小企業のモバイル活用 さらなる普及に必要な支援とは?」をテーマに行われた。
モデレータは、書籍の編集メンバーでもあるITコーディネータ/トゥモローズ堀明人氏。NTTドコモの鈴木博道氏、エムトーンの永田祥造氏(ITベンダー)、KDDIの原田圭悟氏、ITコーディネータ/ジョイプランツの和田喜充氏(中小企業支援専門家)、日本商工会議所の岩崎浩平氏(支援機関)の5人がパネリストとして壇上に並んだ。
(右から)ITコーディネータ/トゥモローズの堀明人氏、NTTドコモの鈴木博道氏、エムトーンの永田祥造氏、KDDIの原田圭悟氏、ITコーディネータ/ジョイプランツの和田喜充氏、日本商工会議所の岩崎浩平氏 |
「見る、見せる、記録する」用途を具体的に提案する
ITベンダー、ITコーディネータ、モバイル通信事業者、支援機関、それぞれの立場から、中小企業におけるモバイル活用の現状と課題が紹介され、具体的な支援方法について議論が交わされた。
タブレット・スマートフォンをまだ活用していない企業に対しては「モバイルを業務にどう活用できるか使い道を示すこと」「支援する側がまず使って見ることが大切」と支援者の立場から和田氏と岩崎氏が指摘。自分自身がまず使って体感し、何ができるかを具体的に提案することで、企業が前向きになって発想を広げてくれるのだという。
一方、飲食店向けのオーダーエントリーシステムが好調の永田氏は、「導入目的や、利益との因果関係を明確にすること」が導入につながっていると報告。ベンダー側が効果を語れることがポイントであると力説した。
モバイル通信事業者2社からは、原田氏より「2、3年前は「コスト削減・業務の効率化」がキーとなっていたが、現在キーワードになっているのは売上拡大」であるとの現状報告がなされた。
鈴木氏は、さらに「業種ごとのソリューションに加え、提案先ごとに業務課題や潜在ニーズなどを明確にしたうえで、スマートフォン・タブレットの最適な活用方法を設計していくことが大切」と指摘した。
最後に堀氏は、『会社で使うタブレット・スマートフォン2013』に記された「何ができるか」の3つのキーワード「見る・見せる・記録する」の概要を紹介。なかでも「記録する」に関しては、自らが支援対象とする農業の現場改革にもたらすインパクトの大きさを強調した。
こうしたモバイルの用途を企業ごとの状況に沿ってどう具体的に示せるかが、今後の普及に大きな影響を及ぼすといえる。
中小企業のモバイル活用をめぐる活発な議論を熱心に聞き入る多くの聴講者たち |