ジュニパーネットワークスは2013年3月26日、SDN(Software Defined Network)に関する記者説明会を開いた。同社は今年1月にSDNビジョン「6-4-1戦略」を発表し、2月15日には国内でも同ビジョンに関する説明会を行っている(関連記事)が、今回は6-4-1戦略に基づくジュニパー初のSDNアプリケーションとなる「バーチャル・モバイル・コントロール・ゲートウェイ(VMCG)」が紹介された。
VMCGの概要 |
VMCGは、携帯電話事業者向けのアプリケーションで、シグナリングおよびコントロール(SGSN/MME)機能を提供するもの。ポイントは、x86サーバー上で稼動する仮想マシン(VM)の上で動くアプリケーションということだ。
現在、SGSN/MMEやDPI、キャリアグレードNATなどの機能は、「別々の物理的なアプライアンスで提供されており、管理の複雑化やリードタイムの長期化などが課題となっている」とサービスプロバイダービジネス統括本部営業開発本部 チーフアーキテクトの長滝信彦氏は説明。
そこでジュニパーは、モジュールの追加により、1つの筐体で複数のネットワーク機能を実現するアプローチも展開しているが、この場合も1筐体に搭載できるスロット数は限られていることなどから、柔軟なスケールアウト/スケールイン等は難しい。このため、「その先を見据えて、クラウドのアーキテクチャを使ったものに移行していきたい」というニーズが高まっていたという。
これに応えるのがVMCGであり、そのプラットフォームであるJunosV App Engineだ。ネットワーク機能を仮想化してハードウェアから切り離すことができる。
JunosV App Engineのコンセプトとメリット |
JunosV App Engineは前述の通り、x86サーバー上で動作するプラットフォーム。OSはLinux(CentOS)、ハイパーバイザーはKVMである。JunosV App Engineはすでに提供開始中で、VMCGは2013年中に提供が始まる予定だ。
JunosV App Engineの全体アーキテクチャ |
JunosV App Engineが成功するか否かは、どれだけ有用なアプリケーションが登場するかに大きくかかっているが、ジュニパーでは自社開発とサードパーティの両輪で強化していく考え。第1弾となったVMCGは、日立コミュニケーションテクノロジーズアメリカとの共同開発だという。
開発中のSDNコントローラーはOpenFlowに対応せず
ジュニパーは最近買収したContrail Systems社の技術をベースに、2014年中にSDNコントローラーを提供する計画だが、これについても言及された。
ジュニパーが開発中のSDNコントローラーはオーバーレイ方式に対応し、採用するプロトコルはMPLS over GRE。また、VXLANなどへの対応も検討しているという。ただし、OpenFlowについては現時点でサポート予定はなく、オープンソースのOpenFlowコントローラであるFloodlightなど、サードパーティのものを活用していく方針だという。