ボーダフォンのM2M戦略「我々だけが“グローバルM2M”を実現」

ボーダフォンは約2年前からM2M事業に特化した専門組織をグローバルに展開している。アジア太平洋地域(APAC)を統括するエカーブ氏に、M2Mビジネスにおける同社の強みと今後の戦略について聞いた。


――ボーダフォンにおけるM2M(Machine-to-Machine)ビジネスの位置付けについて教えてください。

エカーブ M2Mは今、最もエキサイティングな市場です。急速な成長率はもとより、我々モバイルオペレーターにとっては、お客様と、従来とは異なるビジネスの対話が持てるという大きな魅力があります。

M2M事業は当社にとって、戦略的かつ非常に重要な意義を持ちます。欧米とAPAC、中南米、アフリカ、中近東も含め全世界レベルでM2Mに特化した組織体制を整えており、250人の“M2M専任部隊”が活動しています。APACの本部は日本にあります。

――「従来とは異なる対話」というのは、具体的にどのような意味ですか。

エカーブ お客様企業に対して「ビジネスを成長させましょう」というお話ができます。これは、携帯電話やSIMの販売といった従来のビジネスとはまったく異なるものです。

M2Mによって、お客様はビジネスを効率化できます。各地で稼働している製品の情報を収集し、人の派遣コストを削減するといった使い方はすでに多くの分野で行われています。

そしてもう1つ、これこそ最も重要な点ですが、M2Mは新たなビジネスモデルを実現する手段になります。あらゆる市場において、製品の製造・販売による利益率は縮小しており、どの企業も、製品への依存度を下げ、代わりにサービス収益への依存度を高めることに取り組んでいます。

――実際に顧客企業と進めている事例にはどのようなものがありますか。

エカーブ 例えば、エレベーターやエスカレーターといった昇降機を考えてみましょう。

今後、ビルのオーナーは、昇降機を買い取って保有するのではなく、サービス契約を結びたいと望むようになるでしょう。メーカーは機械を売るのではなく、ユーザーが使う期間に応じて課金するという新たなモデルに対応しなければならなくなります。もちろん、故障や障害が発生した時には迅速に対応できるサポート体制も求められます。

こうしたビジネスモデルを可能にするためには、客先で稼働している昇降機の状況をリアルタイムに知る必要があります。M2Mがそれを可能にするのです。また、消耗品の交換で利益を上げているメーカー、例えば浄水器のフィルターやプリンタのカートリッジ等でも例があります。

これらの製品を利用するユーザーは、消耗品の交換時期が来た時に、より安価な競合製品へと乗り換えてしまうケースがあります。そのリスクを軽減し、かつサービス品質を高めるのにも、M2Mは役立ちます。ユーザーが使っている機器の状況を知り、交換時期を逃さず迅速にメンテナンスをしたり、機を見てより割安な新プランを提示することで、顧客とサービス収益を保持できます。

月刊テレコミュニケーション2012年11月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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