――シスコシステムズのCTOからデータセンター会社の社長を経て、昨年11月にZTEジャパンの副社長/CTOに就任されました。現在、どのようなミッションを担っているのですか。
大和 日本の技術部門の責任者として、端末を除く日本向けの製品/ソリューション、具体的には移動通信の基地局、サービスプラットフォームなどを見ています。また、日本では今年から本格展開するIPネットワーク機器事業に必要なチャネルの開拓も私のもう1つのミッションです。
――日本ではZTEがIPネットワーク機器を展開していることは、あまり知られていません。
大和 グローバル市場ではかなり実績を持っているのです。特にキャリア向けではすでに約5%のシェアを確保していますから、決して小さな規模ではありません。昨年からは企業・公共向けのビジネスも本格化させています。日本でもキャリア向け、そして企業向け、双方の展開に力を入れていきます。
日本の会社は開発費が高い
――どのような領域でビジネスを展開しているのですか。
大和 製品の品ぞろえは広い分野にわたります。ZTEは、新興国のキャリア向けビジネスでは「ターンキー」、すなわちシステムをまるごと一括契約することが多いのですが、その際、システムを可能な限り自社製品で組み上げてしまうのです。それで配電盤のようなものも含めて、非常に広い製品レンジを持っているのです。
IP機器でもL2スイッチやルーターからPTN、WDMまでラインナップし最先端の開発を続けています。顧客ベースがあるので、自社で開発・製造してもペイできるのです。
――元シスコCTOとして、ZTEの製品をどう評価されていますか。
大和 シスコ製品の特徴としては、マルチファンクション、マルチプロトコル――過去のシステムからの継続性を重視して、ユーザーの多様なニーズに対応できる点があります。これに対してZTEの製品は、現時点で必要な機能のみを切り出して実装しているのです。構成がシンプルなのでパフォーマンスが高く、非常に「お買い得感」のある製品になっていると思います。
――一般に中国メーカーのコスト競争力には定評があります。理由はどこにあるのでしょうか。
大和 中国の工場で生産するから安いとよく言われるのですが、これは他のメーカーも同じです。違うのは開発コストなのです。
ZTEは中国に3万人のエンジニアがいますが、彼らの給与は日本と比べて高くありません。土地代等のインフラコストも安い。すでに顧客ベースを持っているので、開発費をシェアして早い時期から戦略的な価格が打ち出せる利点もあります。
――価格では他国ベンダーは太刀打ちできない、と。
大和 だと思います。特に日本の会社は開発費が高いので、厳しいのではないでしょうか。