NTTデータのM2M戦略とは?――カギは「M2Mクラウド」とBig Dataの利活用

M2M事業に全社を挙げて取り組むNTTデータ。その戦略の実像とは一体どのようなものか。先に開催されたイベント「NTT DATA Innovation Conference 2012」での風間博之氏の講演の模様をレポートする。

実はNTTデータがいま最も注力している分野の1つが「M2M」である。昨年11月には社内横断組織「M2Mクラウド推進室」を設置するなど、その取り組みは全社を挙げたものだ。1月27日に開催されたプライベートイベント「NTT DATA Innovation Conference 2012」での風間博之氏の講演から、同社のM2M戦略をレポートする。

「M2M自身をビジネスとして捉えるのは難しい」

M2Mは別にいまになって新しく登場したものではない。以前から自動販売機や検針などで活用されてきたが、これまでなかなか期待通りに普及してこなかったのも確かである。それが最近改めて注目が高まっている背景には、まず「IT化の進展」があると風間氏は説明する。具体的には(1)デバイスの高性能化・汎用化・低価格化、(2)通信ネットワークの高速大容量化・低価格化、(3)ソフトウェアのオープン化・クラウド化である。

これに加えて、M2Mへのニーズそのものが高まっている点も重要である。「スマートグリッド、スマートシティ、スマートコミュニティといった社会的な要請がかなり大きい」という。

こうした要因から「多くのリサーチ会社がM2M市場について年間20~30%の成長を予測」する“M2Mブレイク前夜”ともいうべき状況が生み出されているわけだが、もちろんまだ課題は残っている。それは従来からM2Mにとって最大のハードルとなってきたコストの問題だ。「M2Mのコストは通信費が大半だが、そこがなかなか落ちず、結果的にコストが高止まりしているのが現状」だという。

携帯電話等の情報端末向けサービスなどと比較したM2Mの特徴として、風間氏は「ネットワーク化するモノの多さに比べて、効果創出が難しく、費用対効果のバランス点が総じて低い」点を指摘する。現在のコスト水準は、費用対効果の点で見合っておらず、そのため市場は未成熟な状態にとどまっているのだ。

M2M市場の課題は費用対効果のバランス
M2M市場の課題は費用対効果のバランス

それゆえ、「基本的にはM2M自身をビジネスとして捉えるのは難しい」と風間氏は語った。では、NTTデータはどうやってM2Mをビジネスにしていこうと考えているのか。その1つのカギを握るのが、前出の社内横断組織の名称にも使われている「M2Mクラウド」である。

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