EMCが通信キャリア向け事業を加速――ハイブリッド化見据えクラウドを支援

クラウドサービス事業者向け製品を拡充するEMC。中でも、通信キャリアへのソリューション提供を事業戦略の要と位置付ける。ハイブリッドクラウドの実現を見据え、キャリアの新事業を全面支援する。

クラウドサービス事業者向け製品の拡充に注力する大手ストレージベンダーのEMC。その日本法人であるEMCジャパンの営業統括本部通信・メディア営業部、笠原直也部長は次のように語る。

「通信事業者は、他のサービスプロバイダー(SP)にない強みを持っている。通信事業者とともにクラウド市場を開拓することは、EMCの戦略において重要な意味を持つ」

EMCの通信キャリア向け事業は、90年代初頭にストレージ製品の提供を開始して以降、およそ20年にわたる長い歴史を持つ。同社は2000年代前半に従来のストレージの領域から踏み出し、ITインフラ全体に事業領域を拡大。現在は図表1のように、広範なクラウドサービス向けのソリューションを提供している。

図表1 EMCのクラウドサービスソリューション向け製品群
図表1 EMCのクラウドサービスソリューション向け製品群

The Journey to the Cloud――。EMCが掲げるコーポレートメッセージは、顧客企業の“クラウドへの旅を支援する”というものだ。エンタープライズをターゲットとするプライベートクラウド向け製品、そして通信キャリアも含めたSP向けのクラウドサービスソリューションの提供を両輪として推進。両者を組み合わせたハイブリッドクラウドを企業が使いこなせる環境を実現しようというのが、事業戦略の軸である。

同社はネットワーク製品は持たないが、クラウド時代を見据えたIT基盤をトータルに提案し、また09年からシスコシステムズ、ヴイエムウェア(VMware)との3社で展開する「VCE」で、サーバーからストレージ、ネットワークスイッチまでパッケージ化した製品も提供している。

Big Data時代の要件に応える

EMCの通信キャリア向け事業は、次の3つの課題にフォーカスする。

1つは、データ量の増大に伴う管理・運用コストの高騰。2つ目は、これまでサービスごとに垂直統合型で構築されてきたITインフラの効率化だ。そして最後が、クラウドサービス事業の収益化である。

1つ目の課題については、いわゆる「Big Data」への対応が焦点となる。スマートフォンの普及やクラウドの進展によって、通信キャリアが手にする情報量は飛躍的に増大する。これを効率的に管理し、さらに新ビジネスの展開などに活用するための製品群を提供する。

データの保存・管理にかかるコストの軽減に関しては、従来のストレージ製品に加え、昨年買収したアイシロン・システムズの「Isilon IQ スケールアウトNAS」が強力な武器となる。Big Data時代においては、データ量の増大に比例して設備投資を行うようなアプローチは通用しない。初期導入コストはもちろん、運用費も抑えつつ、スケーラブルに拡張していけるかが重要な要素となる。

スケールアウトNASは、ディスク容量を増設した場合でも管理のシンプルさを維持できるのが特長で、容量とパフォーマンスを直線的かつ柔軟に拡張できる。Isilon IQは、最大144台(15.5ペタバイト)までシングルファイルシステムのまま容量と性能を自由に拡張可能だ。

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