「クラウドとモバイルの活用で働き方を変えようという取り組みを進めてきたところに、良いタイミングでiPadが出てきた。テスト導入での反応? めちゃくちゃいい(笑)」
2010年6月にiPadを試験導入した中古車販売大手・ガリバーインターナショナル。経営企画室の椛田泰行氏は、そう手応えを語る。iPadを業務に活用する企業は多いが、その中でもガリバーの取り組みは最も耳目を集めている事例と言っていい。
画像販売アプリのデモ。iPadの優れたUIを活かし、フリック操作、ピンチ操作で直感的にクルマを探せる。もちろん、希望車種や特徴、価格、年式などで絞り込み・検索も行える |
その理由は、当初から基幹業務システムとの連携に取り組んでいること。そして、PCと紙に縛られていた従来業務を変革するためにiPadの特性を活かそうとしている点だ。
ガリバーインターナショナル経営企画室の椛田泰行氏 |
働き方を変えるためのクラウド
椛田氏によれば、11月時点ですでに340台の3G版iPadを導入しており、およそ50台をテスト・検証用に配布。その結果を踏まえて今後、直営店や本社社員に展開していく予定だ。
ガリバーは2009年から、「クラウドプロジェクト」を推進してきた。メール・グループウェアをグーグルの「Google Apps」へ移行し、さらに基幹系システムのクラウド化も進めている。ICTコスト削減を目的に社内システムをデータセンターに移す企業は多いが、「そうしたインフラ効率化の視点ではなく、いつでもどこでも働ける環境を創るという目的から始まった」のが同プロジェクトのミソ。「だからこそデバイスは重要」と話す椛田氏にとって、iPadはまさに待ちに待った“クラウド端末”というわけだ。
では、具体的にどのようなシーンでiPadを活用するのか。同社では直営店舗、および営業マンの出張買取・販売業務で活用するための5つのiPadアプリを開発している。
1つ目は会社案内アプリ。単なるパンフレットの電子化ではなく、iPadの優れたUIを活かして、買取・販売の仕組みを顧客に説明するものだ。
2つ目は受付業務アプリだ。従来は、顧客に手書きしてもらった受付票を本部へFAX送信し、スタッフが改めてPCに入力していた。これをiPadに置き換え、直接、個人情報や希望車種、アンケートを入力し、情報をサーバーに送信する。受付票の印刷・配布から用紙の管理・保管、FAX送受信、データ入力などの手間とコストが一気に省ける。