広域網SDN化の実現へ――国内5社が取り組むO3プロジェクトとは?

キャリア網のSDN化推進を目的に、NEC、NTT、NTTコミュニケーションズ、富士通、日立製作所の国内5社による共同研究開発プロジェクトが発足した。「広域ネットワークのSDN化」がもたらす効果と解決すべき課題を整理する。

NEC、NTT、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)、富士通、日立製作所は9月17日、5社共同による研究開発プロジェクト「Open Innovation over Network Platform(愛称:O3プロジェクト)」を立ち上げた。

これは、総務省の「ネットワーク仮想化技術の研究開発」による委託を受けて実施するもので、SDNを広域ネットワークに適用するための研究開発を進めるのが目的だ。ネットワーク資源を共有する複数の通信事業者/サービスプロバイダ(SP)が目的に合わせて自由にネットワークの設計、構築、運用管理を行えるネットワーク仮想化技術の確立を目指す。

9月18日~20日に都内で開催されたイベント「SDN Japan 2013」において、O3プロジェクトの狙いと今後の取り組み等について講演したNEC 情報・ナレッジ研究所 所長代理の岩田淳氏は、「非常にチャレンジングな領域ではあるが、5社で協力しながら推進していく」と意気込みを述べた。

データセンターを中心に導入が進んできたSDN技術だが、特性が異なる広域ネットワークへ適用するには克服すべき課題が多い。O3プロジェクトでは、従来型のネットワークが抱える課題を整理し、それらに対応するかたちでSDN技術を活用したソリューションの開発を進める方針という。

現在の広域ネットワークは光や無線等の複数のネットワーク、複数のレイヤで構成され、それぞれ個別に運用管理されている。O3プロジェクトは、これに起因する3つの課題にフォーカスしている。

1つ目の課題は、サービス要件を満たすネットワークを迅速に構築しサービスを開始することができないこと。2つ目は、レイヤごとに障害監視を行う現状の形態では、下位レイヤの障害発生時に上位レイヤの運用管理者が迅速な障害箇所の特定や対処が困難な点だ。3つ目はコストの問題。レイヤごとに資源を最適化しているため、トータルコストの最適化が困難だ。

月刊テレコミュニケーション2013年11月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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