BYOD管理の“新本命”「MAM」と「MCM」とは?【前編】BYODソリューションに異変アリ――「私物端末にMDMは必要ない!」

BYODが本格普及しない原因は、実は従来型BYODソリューションの側にも求められる。私物端末をMDMで管理するとなると、プライバシーの問題に突き当たるからだ。しかし今、モバイルアプリケーション管理(MAM)やモバイルコンテンツ管理(MCM)といったBYOD時代にふさわしい新ソリューションが急浮上している。

「なぜデバイス全体を管理しないといけないのか?」

「なぜデバイス全体を管理しないといけないのか。データだけを管理すればいいのではないか。これは、新しい管理哲学である。私物端末の中にある企業データだけを管理するということだ」

ガートナー ジャパンが4月24日~26日に開催したイベント「ITインフラストラクチャ&データセンター サミット2013」――。同社リサーチディレクターのソン・チャン氏は、「企業におけるモバイル管理の最新動向 ~デバイスの多様化、BYODへの対応はどうあるべきか~」と題した講演の中で、スマートデバイスの“新しい管理哲学”を紹介したが、その実現手段として注目を集めているのが「MAM」や「MCM」などと呼ばれるソリューションである。

MAMは Mobile Application Management(モバイルアプリケーション管理)、MCMはMobile Contents Management(モバイルコンテンツ管理)の略だ。

ガートナー リサーチ リサーチ ディレクター ソン・チャン氏
ガートナー リサーチ リサーチ ディレクター ソン・チャン氏

企業がスマートデバイスを活用する際、現在よく利用されているのは、デバイスを管理するためのMDM(Mobile Device Management)だ。これに対してMAMは業務アプリケーションとそのデータ、MCMは業務データ(コンテンツ)を管理対象にしたソリューションである。

すでに市場ではいくつかのタイプのMAMおよびMCMソリューションが登場しているが、例えばMAMの実現方法の1つとして「モバイルアプリコンテナ」がある。これは、スマートデバイス内の隔離された環境(サンドボックス)に業務アプリケーションを分離して格納し、業務アプリケーションとそのデータ自体をID/パスワード、暗号化などにより保全するというアプローチだ。

また、MCMの一例としては、企業向けにセキュリティと管理機能が強化されたファイル共有・配信サービスが挙げられる。

MAMとMCMの詳細については後述するとして、その前に整理したいのは、「どうして今、MDMとは別の管理手法が、大きな潮流として浮上してきたのか」である。その重要な背景の1つには、BYOD(Bring Your Own Device:私物端末の業務利用)のトレンドがある。

「なぜデバイス全体を管理しないといけないのか。データだけを管理すればいいのではないか」というガートナーの問いを切り口にBYODの課題を見ると、MAM/MCMへの注目が急上昇している理由も明らかになってくる。

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