スマートフォン/ケータイショップフォーラム2012秋レポート「キャリアの競争力の源泉は“顧客接点=ケータイショップ”に移行する」

2012年11月1日、スマートフォン/ケータイ販売業界 研究セミナー「スマートフォン/ケータイショップフォーラム2012秋」が東京・大井町きゅりあんで開催された。基調講演を務めた野村総合研究所の北俊一氏は、「スマートフォン時代にはますます顧客接点力が求められる」とケータイショップの重要性がさらに高まると訴えた。

iPhone 5などの新製品が発表されれば、たちまち大きな話題になるなど、非常に高い関心が寄せられている携帯電話/スマートフォン。その一方で、これまでスポットライトが当たる機会があまりなかったのが、その販売活動を担っている「携帯電話販売代理店」である。実はキャリアショップのほぼすべては販売代理店によって運営されており、我々の生活とも縁は大変深い。

その販売代理店の業界構造や役割、ショップスタッフの仕事内容などを知るためのイベント「スマートフォン/ケータイショップフォーラム2012秋」が2012年11月1日に東京・大井町で開催された。

会場ロビーには、大手携帯電話代理店などによる展示ブースも設けられた

「ケータイショップで人間力を磨け!」

基調講演を行ったのは、本フォーラムの実行委員長でもある野村総合研究所の北俊一氏だ。同氏はまずスマートフォン/ケータイ販売の業界構造を解説。スマートフォン/ケータイの販売のほとんどは代理店が行っていること、代理店は全国展開する「広域系」と特定エリアのみで事業を行う「地場系」の2つに大きく分類できること、約10万人が携わっていることなどを説明した。

そのうえで北氏が指摘したのは、スマートフォンの普及による次の重要な変化だ。

かつて携帯電話キャリアの競争力(差別化)の源泉は「端末」だった。ところがスマートフォン時代に入り、端末レイヤーでの差別化は難しくなった。例えばアップルのiPhoneであればKDDIとソフトバンク、サムスンのGalaxyであれば3キャリアすべてから発売されており、差別化にはならない。

ではキャリアは今後、何を軸に競争していくのか――。「プラットフォームレイヤーと顧客接点レイヤーに競争力の源泉は移行する」と北氏は語った。

キャリアの競争力の源泉はスマートフォン時代に入ったことで、顧客接点レイヤー=ケータイショップ」へと移行する

ここでいうプラットフォームとは、ユーザーID管理や認証・決済などの機能のことだ。そして顧客接点とはキャリアショップを中心とした販売チャネルに他ならない。

スマートフォンは、端末、ネットワーク、アプリケーションなどの各レイヤーを別々のプレイヤーが担うオープンな水平分離モデルである。しかしだからといって、例えばアプリのトラブルで駆け込んできた顧客に対して、「キャリアショップは『それは自分で解決してください』とは絶対に言えない」(北氏)。スマートフォンが広く普及していくなか、その使い方の説明やトラブルシューティングをきちんと提供できるか否かは顧客満足度を大きく左右することになる。

「ケータイショップは単に携帯電話という商品を売るだけではない。安心・安全に使ってもらうためのサービスを売る仕事だ。トラブルに対してしっかり対応できる顧客接点力がスマートフォン時代にはますます求められてくる」と、北氏はケータイショップの役割がキャリアにとっていっそう重要になると話した。

また、北氏はケータイショップの仕事について、「販売のプロ、コンサルティングのプロ、サービスのプロ、リーダーであること」が要求されると紹介。「ケータイショップのスタッフを極めれば、どんな販売・サービス業でも通用する。ケータイショップで、ぜひ人間力を磨いてほしい」と、これからスマートフォン/ケータイ販売業界を目指す人に向けてメッセージを送り、講演を締めくくった。

キャリアショップは「最重要チャネル」

続いて行われたのは、携帯電話キャリアによるショップ政策・制度についての講演だ。NTTドコモ 販売部 代理店担当部長の岡誠一氏とKDDI コンシューマチャネル戦略部 部長の飛田等氏がそれぞれ登壇した。

NTTドコモ 販売部 代理店担当部長 岡誠一氏 KDDI コンシューマチャネル戦略部 部長 飛田等氏
NTTドコモ 販売部 代理店担当部長 岡誠一氏 KDDI コンシューマチャネル戦略部 部長 飛田等氏

両氏が揃って強調したのは、量販店など複数の販売チャネルが存在するなか、キャリアショップを「最重要チャネルと位置づけている」という点だ。それを示す数字として、NTTドコモの岡氏はドコモショップは全国に約2400店舗あり約3万4000人が働いていること、KDDIの飛田氏は販売台数の約7割をauショップが占めていることなどを挙げた。

この最重要チャネルを強化するため、両キャリアはともにスキルアップのための資格制度を設けているほか、ショップスタッフの接客力を競うコンテストなども開催しており、その具体的内容が説明された。

さらにNTTドコモの岡氏は、東日本大震災の最中に石巻市のドコモショップのスタッフが取ったある行動と、それに対する顧客からの感謝の手紙についてビデオで紹介。「こういった1つひとつの積み重ねがドコモを支えているんだと肝に銘じて事業運営していかなければならない」と話した。

また、KDDIの飛田氏も、「お客様があって会社は成り立っているが、そのお客様のタッチポイント(顧客接点)となっているのがauショップ。KDDIはauショップを通じてお客様に評価されている」と語り、さらなる高みを目指してショップ支援に力を入れていく考えを示した。

このほか、スマートフォン/ケータイショップフォーラムでは、特別ゲストにエド・はるみさんを迎えたカリスマショップスタッフによる接客の実演なども行われた。

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