企業ネットワークの再構築が急務! ―― モバイル/クラウド時代を「賢く渡り歩く」ためのポイントとは

「ガートナー ITインフラストラクチャ&データセンター サミット 2017」(2017年4月26日~28日)の2日目、ガートナー ジャパンのリサーチ部門でバイスプレジデントを務める池田武史氏が「モバイル/クラウド時代を賢く渡り歩くための企業ネットワーク」と題した講演を行った。デジタル時代の本格到来に向けて、企業はどのようにネットワークを再構築すべきなのか。

「ほとんどの企業のネットワークは作り変えないといけない。現状のままでは、これからの時代に対応できなくなる」


ガートナー ジャパン リサーチ部門
ITインフラストラクチャ&セキュリティ
バイスプレジデントの池田武史氏

池田氏は講演の冒頭でそう話した上で、実際に多くの企業がネットワーク再構築の必要性を実感していることを示す調査結果を紹介した。2017年2月にガートナー ジャパンが515社のユーザー企業を対象に行なったものだ。

企業ネットワークに関する現状を尋ねた結果、「インターネット接続の増速が必要」「メールやスケジューラはパブリッククラウドを利用」「インターネット接続の費用が年々増加」「スマートフォン/タブレットの通信費用が年々増加」の4つの項目で「すでにそうなっている」とする回答が20%を超え、また「3年以内にそうなる」と回答した企業を含めると50%を超える結果になったという。モバイルとクラウドの影響が企業ネットワークに及んでいることがわかる。

この流れは今後、確実に加速するはずだ。ビジネスのデジタル化が進み、さらに多くのモノがインターネットにつながるようになればトラフィックはますます増加する。
データセンターネットワークは良いが、LANは大丈夫?
では、ユーザー企業はこの現状にどのように対処しようとしているのか。池田氏が次に紹介したのが、ユーザー企業が優先的に取り組んでいる課題について尋ねた設問の回答結果だ。興味深いのは、データセンターネットワークとキャンパスネットワーク(LAN)で大きな違いが見られることである。

データセンターネットワークについては、「ネットワークの設定変更作業の自動化」の優先度が高いという結果が得られた。また、SD-WAN(Software Defined WAN)の導入についても関心が高く、池田氏は「パブリッククラウドの利用でインターネットトラフィックが増えていることが影響している」と分析している。

このように、データセンターネットワークやWANについては、運用自動化に向けた取り組みが進んでいることを池田氏は評価した。一方、同氏が「気になる」としたのがキャンパスネットワークについての回答結果だ。

オフィスLANおよびリモートアクセスの課題について尋ねると、データセンターネットワークとは対象的な結果が得られたという。「構築・運用作業のアウトソース化」がダントツで多く、「運用自動化」の優先度が非常に低いのだ。池田氏はこれを問題視しており、「ネットワークは今後どんどん複雑化していく。いずれ、人間系で対応することはできなくなっていく。当面はアウトソースで逃れるのも良いが、複雑化するに伴ってそのコストは高まるばかりだ。キャンパスネットワークにも自動化の仕組みを入れていかなければ、根本的な解決にはならない」と指摘した。

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