M2M/IoTカンファレンス 2015 講演レポート「IoTのハードルは決して高くない」――日本IBM土屋氏がビジネス活用の良策を指南

10月8日に開催された「M2M/IoTカンファレンス」(主催:リックテレコム)で、日本IBM アナリティクス事業部 テクニカル・リードの土屋敦氏は「IoTからいかにしてビジネス価値を生み出すか?」と題して講演。「いまはIoTをすぐにビジネスに取り込める環境が整っている」と語り、その具体的な手段として自社のクラウドサービス「Bluemix」の特徴および多様な活用事例を紹介した。

教育、医療、スポーツなど多様な分野でIoT活用が進展講演の中では、BluemixでIoTをうまく取り込んだ以下のような事例も紹介された。

●「パワーボート」という種類のモーターボートレースに参加する米SilverHookシルバーフック社は、ボートからのさまざまなデータをクラウド上にリアルタイムに収集・解析し、レース中のドライバーに指示を伝えている。

●IBMが実施した「Bluemixチャレンジ」というコンテストで、地図情報と組み合わせてゲーム感覚で社会科の知識を学べる「地理・歴史王」という教育機関向けアプリが開発された。

●米サンフランシスコの鉄道会社BART社は、既存の運行管理アプリをBluemixでモバイル化。電車の位置情報や気象情報などを収集し現場の駅員などに通知する仕組みをわずか15日間で完成させた。(図表6

図表6 BART社の「IBM Bluemix」活用事例
図表6 BART社の「IBM Bluemix」活用事例

●カナダのオンタリオ工科大学では、早産した新生児の感染症による死亡を防ぐ狙いで、集中治療室でのバイタルモニターをリアルタイムに分析し生命の危険を知らせる仕組みを開発。医師が新生児の体調不良を診断する24時間前にアラートを出すことにより、死亡率の30%低減に成功している。(図表7

図表7 オンタリオ工科大学の医療分野でのIoT活用例
図表7 オンタリオ工科大学の医療分野でのIoT活用例

また、クラウド上で公開されている質問応答システム「IBM Watson」とBluemixを組み合わせたIoTの活用例として、今年の英ウィンブルドンテニス選手権のデータサービス向けに運用されたアプリ「IBM Slamtracker」についても、VTRを交えて詳説した。

この仕組みにおいて、IBMはデータの収集・分析・配信を担当。Slamtrackerをインストールしたエンドユーザーのモバイル端末に試合結果やコートの様子をリアルタイムに送信するだけでなく、個々の選手の戦歴や試合内容などに基づいたリアルタイムな戦況予測などの情報も提供。さらにWatsonの機能によって、選手や試合に関するリアルタイムな統計的知識とウィンブルドンテニス選手権に関する一般的知識の両面で、ユーザーからの多様な質問にも的確に答えるサービスも盛り込んだ。(図表8・9

図表8 ウィンブルトンテニス選手権2015で提供されたアプリ「IBM Slamtracker」
図表8 ウィンブルトンテニス選手権2015で提供されたアプリ「IBM Slamtracker」
図表9 「IBM Slamtracker」における質問応答システム「IBM Watson」の利用例
図表9 「IBM Slamtracker」における質問応答システム「IBM Watson」の利用例

自社サービスとその活用事例を説明した土屋氏は、最後に「データを集めて分析するという考え方はどの業界にも通じること。『IoTで何かできないか』と思っているなら、社内のアイデアソンやハッカソンでアイデアを集め、まずはIBMのサービスを使ってトライしてみては」と、聴講者に呼びかけた。

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