中国発の3.9G「TD-LTE」の威力(後編)――世界の商用化動向とソフトバンクの狙い

中国にとどまらず、世界的に導入機運が高まっているTD-LTE。後編では、中国など世界各国の商用化に向けた動きと、TD-LTE採用が噂されるソフトバンクの狙いについて解説する。

米国でもWiMAXの後継に?

こうしたなか、中国以外の国でもTD-LTE導入の機運が高まってきている。中でも今注目されているのがインドの動きだ。同国は今年4月に中国のトライアルにも使われている2.3GHz帯において20MHz×1の2ブロックの周波数オークションを実施したが、その導入システムとしてWiMAXとともにTD-LTEが有望視されているのだ。オークションには米クアルコムも現地企業と組んで参加したが、TD-LTEの導入を目指していると見られている。エリクソンの藤岡氏は「中国よりインドの方がTD-LTEの商用化で先行する可能性がある」と語る。

もう1つ大きな話題となっているのが、スプリント・ネクステルと組みモバイルWiMAXサービスを展開する米クリアワイヤが、同サービスに用いている2.5GHz帯をTD-LTEの運用帯域に加えるよう3GPPに提案したことだ。言うまでもなくこれは現行WiMAXの後継としてTD-LTEを導入することを意識した動きだ。

この他にもナイジェリア、オーマン、ロシア、オーストラリアなどでもTD-LTEの導入が検討されているという。TD-LTEは、すでにWiMAX市場を浸食し始めているのである。

図表 TD-LTEの商用化に向けた最近の動き
図表 TD-LTEの商用化に向けた最近の動き

モトローラのアクター氏は「アジア、北米、欧州などの地域で動きが出てきているが、特に中東地域に期待している。インドのオークションにも関わっていく」と話す。また、ファーウェイのジンガオ氏によれば「当社を含む数社のベンダーが北米、日本、欧州の大手通信事業者とトライアル等の提携を進めており、10年末までにネットワークを構築する見込みだ」という。

世界ではすでにTD-LTEビジネスが立ち上がろうとしている。ソフトバンクの動きも、こうした流れの中の1つとして捉えると分かりやすい。

月刊テレコミュニケーション2010年6月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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