5Gのユースケースは10年間で大きく拡大、IDCが国内産業分野向け5G市場の展望を発表

IDC Japanは2022年5月16日、国内産業分野向け5G市場の展望を発表した。現状、同市場はまだ初期の状況ではあるものの、着実に進展していることが分かったという。

現在、大企業などによる実証実験や、地方の課題解決を中心とする総務省の開発実証などが行われているが、企業の自らの予算による商用導入はまだ限定的。その主な要因として、産業分野で画像AI分析やリアルタイム制御などを活用する高度なDXアプリケーションがまだ成熟していないこと、パブリック5Gのサービスエリアが十分に広がっていないこと、ローカル5Gの価格が高いことなどを挙げている。

一方で、ローカル5Gソリューションの価格が急速に低下するなど、着実に市場の進歩も見えているという。NEC、NTT東日本、富士通などが、マネージドサービスやスモールスタートのためのパッケージとして、これまでよりも安価なローカル5Gソリューションの提供に乗り出している。多くのローカル5Gベンダーが、「無線LAN並み」の低価格と運用の容易さを目指すとしており、今後数年間にわたって、ローカル5Gの価格低下が続くと予測している。

5Gのユースケースは今後10年間、次のような形で拡大するとみている。前半は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による社会活動のリモート化、ドローンや自動運転に関する規制緩和、物流業界や建設業界における残業規制の強化などが、企業の5G活用を後押しする。後半はタバース利用の日常化、人とロボットの協働、リアルタイムデータに基づくリソース利用の最適化などへと、5Gの活用用途がさらに拡大する。

「通信事業者やローカル5Gベンダーは、まずは、すでに確立された技術と5Gの組み合わせによる、商用ベースの実績作りに注力すべきである。現時点では最新技術を活用した高度なDXアプリケーションの多くがまだ発展途上で、なおかつ5Gを活用できる前提で企画/設計されていないものが多い。5Gに取り組む企業は、すぐに実現可能な商用での活用事例を増やすことで、企業やベンダーのDXへの取り組みを、5Gの活用を前提とするものへと発展させていく必要がある」とIDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーの小野陽子氏は述べている。

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