<特集>5G産業革命の足音は聞こえてきたか?(第3回)仮想店舗で「第3の購買体験」 三越伊勢丹、アットコスメが5G活用

コロナ禍で外出が制限されるなか、5Gスマホで利用できるバーチャル店舗が注目を集めている。動き始めた5G時代の新しい購買体験。小売のビジネスモデルを変革する可能性もある。

新宿駅東口エリアを出てしばらく歩くと、伊勢丹新宿店の建物が見えてくる。1階の入口を入ると、目の前に売り場が広がる─。だが、これは現実の空間ではない。仮想空間上での体験だ。

三越伊勢丹は今年3月、スマートフォン向けVRアプリ「REV WORLDS(レヴワールズ)」の提供を開始した。

仮想伊勢丹新宿店には、リアルと同じ売り場もある(写真はイセタンビューティ)
仮想伊勢丹新宿店には、リアルと同じ売り場もある(写真はイセタンビューティ)

REV WORLDSは新宿の街を中心とした仮想都市コミュニケーションプラットフォーム。その一角に伊勢丹新宿店(以下、仮想伊勢丹新宿店)を出店している。

仮想伊勢丹新宿店には、世界各国の自然派コスメや健康食品を集めた「ビューティアポセカリー」、婦人服の人気ショップ「ReStyle」、洋菓子やワイン、和酒が揃った「デパ地下」などリアルと同じ売り場のほか、宝飾・雑貨・リビング用品のセレクトショップ「Crystal Palace」のように独自の売り場も展開する。ユーザーは自らの分身であるアバターを操作して空間内を移動。気に入った商品の画像をタップすると三越伊勢丹のオンラインストア等に遷移し、購入することも可能だ。

REV WORLDSの大きな特徴の1つといえるのが、他のアバターとコミュニケーションしながら散策できること。スタート時に「みんなで」と「だれかと」の2つのモードから選択するようになっており、「だれかと」を選ぶと、招待した相手のアバターと貸し切りで仮想空間を楽しむことができる。コロナ禍で人とリアルに会う機会が減っているが、「久しぶりに地方に住んでいるお母さんと一緒に買い物ができました」といった感想が寄せられているという。

一方、「みんなで」を選ぶと、街中や店内で見ず知らずのユーザーのアバターとすれ違う。その際、チャットやエモート(お辞儀や手を振るなど感情を表現する)機能によって会話を交わすこともできる。仮想伊勢丹新宿店では、店頭スタッフがCG化されている売り場もあり、定型文での案内も行っているので、実際に店頭にいるような体験ができる。

「従来のECサイトでのショッピングは誰とも会話をせず、1人で画面に向き合うため極めて孤独だった。家族や恋人と来店し、おしゃべりしながら買い物をする実店舗ならではの価値をバーチャル店舗で実現したいと考えた」。三越伊勢丹 MD統括部 オンラインクリエイショングループ デジタル事業運営部 計画推進仮想都市プラットフォーム事業担当の仲田朝彦氏は、REV WORLDSの狙いをこう説明する。

三越伊勢丹 MD統括部 オンラインクリエイショングループ デジタル事業運営部 計画推進仮想都市プラットフォーム事業担当 仲田朝彦氏

三越伊勢丹 MD統括部 オンラインクリエイショングループ
デジタル事業運営部 計画推進仮想都市プラットフォーム事業担当 仲田朝彦氏

月刊テレコミュニケーション2021年11月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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