<特集>量子通信と量子コンピューター光で100万量子ビットに挑む 通信技術が量子コンピューターを進化させる!?

実用的な量子コンピューターに必要な「100万量子ビット」。その達成に、光通信技術が大きな役割を果たせるという。東大やNTT、理研らが挑む「光量子コンピューター」だ。日本発で量子計算の実用化に挑む。

量子時代の世界観をも変える?

光方式は、量子コンピューターが実用化された後の世界観も変える可能性がある。

量子ビット数を1万倍にしても空間的並列化がそれほど必要ないため、光量子コンピューターは極端に巨大化しない。「光方式なら1台数十億円程度で販売できる可能性がある」(高瀬氏)

NTTの白井氏は、将来的な集積化の観点でも光方式には大きな優位性があると述べる。「かなり先の話だが、光方式ならチップサイズまでもっていくような技術も開発できると考えている。NTTの光通信技術が活かせるはずだ」

古典計算と量子計算の関係性を変える可能性もある。ワリット氏は、「量子計算のプラットフォームで古典計算もできるかもしれない」と展望する。

一般的には、量子コンピューターが実用化しても、その用途は、古典コンピューターでは時間がかかりすぎる計算分野に限られると考えられている。量子ビットを増やすのに膨大なコストがかかるため、古典計算を代替するのは割に合わないのだ。

しかし、光方式によってスケーラビリティや設置・運用環境、消費電力の観点で破格のコストが実現できれば、その前提が覆る可能性がある。「光方式の特徴である高速化、低消費電力化を基に、光量子コンピューターを古典計算に活用することで、エネルギー問題を解決できる未来像が描ける」とワリット氏は話す。

NTTの白井氏も、IOWNの世界観の中での量子コンピューターの位置付けについて、「IOWNは、必要なリソースを必要なタイミングで必要なだけ使えるようにするという世界観を目指す。その計算リソースの1つとして量子計算が使えるようになる」と展望する。

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