中台関係の緊張が高まる中、台湾の頼清徳総統は今年8月、自民党の石破茂元幹事長ら、訪台した日本の超党派の国会議員団と安全保障問題などをテーマに会談した(写真:中華民国総統府)
中国大陸の目の前に位置する台湾離島の馬祖列島で2月上旬、台湾本島と結ばれる通信用の海底ケーブル2本が相次いで切断された。馬祖列島に繋がる海底ケーブルは2本しかなく、1本目は2月2日に、2本目は2月8日にそれぞれ切断されたが、それによって地元民は島外との連絡が一切取れなくなり、情報も入ってこない本当の孤島になったと不安の声を口にした。その後、台湾政府や通信会社は本島からマイクロ波を送信して馬祖列島との通信を確保したが、病院や行政機関などの利用が優先され、3月に入ってもスマートフォンなどの通信が繋がりにくい状況が続いたという。
台湾政府は海底ケーブルの切断時の周辺船舶の動きから、中国の貨物船と漁船が関与したとみているが、2020年以降に台湾周辺では人為的な海底ケーブルの切断が30件あまり報告され、馬祖列島だけでなく、台湾本島と金門島、澎湖諸島などを結ぶ海底ケーブル、台湾離島同士を結ぶ海底ケーブルなども切断される被害に遭っている。
こういった状況に台湾政府は強い懸念を抱き、有事になれば日本や米国と繋がる海底ケーブルなどが中国によって意図的に遮断される恐れを警戒し、近年は独自に衛星通信網の整備強化に尽力している。海底ケーブルが遮断された際は、衛星通信網が極めて重要になる。
では、今日の中台関係はどのような状況にあり、台湾有事が懸念される中、通信・情報分野へは今後どのような影響が考えられるのか。