Synology Japan
セールスマネージャー
田野久敏氏
複数のアクセスポイント(AP)を無線通信でつなぐメッシュWi-Fiは、多くのWi-Fiデバイスを接続しても安定的に通信できる環境を構築するのに最適だ。電波干渉を気にせずに済み、また機器ごとに異なるSSIDやチャネル管理をしなくてよいといった点も魅力だ。
なかでも大きなメリットが、Wi-Fiネットワーク全体を一元管理できること。APごとに設定・管理するのではなく、メッシュ状に張り巡らされたWi-Fiエリアを容易に管理できる。ただし、その効果を最大化するには、カバーエリアの広さなどハードウェア性能だけではなく、管理ソフトウェアの完成度にも注目して製品を選ぶ必要がある。
Synologyというブランドを聞いて、まず思い出すのはNAS製品群ではないだろうか。高度にインテグレートされ、単体でクラウドとの連携や、PCのバックアップデータからP2V(マシンの仮想化)まで行えるほど多様な機能を持つ。単なるファイルサーバーでは飽き足らないハイエンドコンシューマー層や、小規模ビジネス層にファンが多い。
その同社が販売するメッシュWi-Fi製品「RT2600ac」「MR2200ac」も同様に、ハードウェアだけでなくソフトウェアの充実に力を入れた製品だ。
ハードウェアの特長から見ていこう。
RT2600acを中心に据え、MR2200 acを6台まで接続してWi-Fiエリアを構築できる。RT2600acに全APが直接つながるスター型ネットワークはもちろん、APを数珠つなぎにするデイジーチェーンにも対応する。なお、どちらも有線LANポートを備え、バックホールに有線LANを使えば最大で1プライマリー+12Wi-FiポイントのMR2200acを1つのネットワークとして管理可能だ。
なお、無線APというとMU-MIMOへの対応やビームフォーミング機能の搭載等を売りにする製品が多いが、両製品とも当然、それらに対応している。
特筆すべきは、ハードウェアとしての性能の高さだ。RT2600acはデュアルコアCPUにDDR3 512MBのRAMを、MR2200acはクアッドコアCPUにDDR3 256MBのRAMを搭載。ハイエンドスマートデバイス並みの性能を持つ。
さらに、RT2600acはデュアルWANに対応する。有線WANポートに加えて、LANポートを1つWANに割り当てるか、USBポートにLTEモデムを取り付けることでWANを冗長化できる。固定回線を2本束ねて高速性と高可用性を備えるWANを構築することもできるし、固定回線をメインに安価なLTE回線をバックアップに使ってコストを抑えつつ可用性を求めることもできる。
SynologyのメッシュWi-Fiルーター
ソフトウェア面で目を奪われるのは、高機能なGUI画面だ(下画像)。
Synology Router Manager(以下、SRM)はマルチタスクに対応しており、MACアドレス一覧やDHCPから払い出されたIPアドレス一覧を見ながらポート開放の設定を行えるなど、これまでのWi-Fiルーターでは得られなかった運用体験ができる。
しかも、これらのGUI機能はすべてWebブラウザ上で動作するので、ネットワーク管理に利用する機器も選ばない。設定画面は日本語化されているので、その点でも使い勝手の心配はない。
SRMには大きく分けて2つの機能がある。1つはネットワークの可視化と機器の設定・管理。もう1つがセキュリティ機能の設定・管理だ。
ネットワークの全体像はSRM上にグラフィカルに表示され、複数のAPの接続状態が簡単に確認できる。また、各APやネットワーク全体のパフォーマンステスト結果も表示できるので、Wi-Fiネットワークが健全な状態で運用できているかどうかも手軽にチェックすることが可能だ。
多様なセキュリティ機能もあらかじめ組み込まれている。嬉しいのが、それらを追加コストなしの“標準機能”として使える点だ。
高機能Wi-Fi製品では一般的に、セキュリティ機能を使うために追加のコストがかかるものが多いが、Synology Japanでセールスマネージャーを務める田野久敏氏は「当社の製品は基本的にセキュリティ機能が無償で使える。VPNルーター機能のみが例外で、それ以外は追加のコストは不要だ」と話す。これも、RT2600ac/MR2200acがユーザーから支持を集める理由だ。
Webフィルターや広告ブロック、IDS/IPS(不正侵入検知/防止、RT2600acのみ)、ログ解析からレポート生成まで、多くのセキュリティ機能が自由に使える。Webフィルターは内蔵データベース、ブラックリスト、ホワイトリストの各方式に対応。さらに、ユーザーからのブロック解除依頼機能まで備わっている。
また、「世界で最初にWPA3の認定を受けた」(田野氏)ことも注目だ。WPA2に比べてはるかに強度が増した最新のセキュリティ機能が使える。
設定も容易だ。スマートフォンやノートPC等のデバイスごとに設定プロファイルを作成できるので、新たにデバイスが接続された場合にも、プロファイルを割り当てるだけで手軽にセキュリティレベルを維持できる。また、これらのデバイスとユーザーを結びつけて、ネットワーク接続時間を管理できるのも面白いポイントだ。複数のデバイスを使い分けているユーザーがいても、1人ひとりのネットワーク接続時間を監視、管理できる。
最後に、オフィスや店舗で特に役立つ機能も紹介しよう。
1つはゲストWi-Fi機能だ。業務用のとは別にSSIDを設けて、社内ネットワークと分離したインターネット接続を提供できる。田野氏によれば、「3クリックで設定が完了する」ほど簡便に使え、利用可能な時間やゲスト用ポータルの指定等の細かい設定も可能だ。
もう1つは、充実したVPN機能である。こちらは有償オプション※になるが、外部からオフィスに接続するSSL VPNや複数のオフィス間を結ぶSite-to-Site VPN、Web画面だけを転送するWeb VPN等が用意されている。複数のオフィスをまたぐネットワークを一元管理することも可能なので、すべてのオフィスにネットワーク管理者を置く必要もない。初めてのネットワーク構築にも安心して使えるシステムと言えるだろう。
※1ライセンスの価格は9.99米ドルで、30日間無料トライアルが付属する。また、クライアントVPNアクセスは1つの無料ライセンスが付属する
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