Wi-Fi、IoTセキュリティをAIで管理 10万人のスタジアムに搭載「Smart OmniEdge」

Wi-FiやIoTデバイスなど、増え続けるエッジの管理をAI技術で自動化。米エクストリームネットワークスの「Smart OmniEdge」はあらゆる場所にネットワークを提供する。さらにユーザーへのサポートにも力を入れている。
韓斌氏

エクストリームネットワークス システムエンジニアリング本部 エンタープライズソリューション部 システムズエンジニア 韓斌氏

 「米NFL(アメリカンフットボールリーグ)の球場はワイヤレスにとって”過酷な”環境です。ここで安定したネットワークを構築できれば、他に提供できない場所はないでしょう」

 そう語るのはエクストリームネットワークスの韓斌氏だ。米国の国民的スポーツであるNFLの試合には、最大で10万人以上のファンがスタジアムに密集する。スタジアムには公衆無線LANが整備されているが、アクセスポイント(AP)に採用されているのが、公式プロバイダーである米エクストリームネットワークスのエッジ向けソリューション群「Smart OmniEdge」だ。

 韓氏は「複数の業界大手ベンダーのAPで同じパフォーマンスをスタジアムで出そうとしたところ、2倍から5倍の台数が必要でした」と胸を張る。

64%がWi-Fiのトラブル 環境を学習して電波を自動調整


 同社のAPが高いパフォーマンスを発揮する理由の1つは、内部にAIエージェントを搭載し、「ExtremeAI」と連携できるからだ。「ユーザーの電波環境を常に学習し、問題の検知、根本原因の特定、さらに適切なアクション(チャネルや電波出力、セルサイズ調整など)の実行を自動化します」と韓氏は解説する。

 また、同社の調査では企業ネットワークにおけるトラブルの64%がWi-Fi関連だったという。今後もWi-Fiに繋がる端末は増え続ける。従来の人手に頼ったトラブル対応では「コストが高い」と韓氏は指摘する。同社のAPならば人手を介さず電波を最適化してくれるため、Wi-Fi関連のトラブルを未然に防ぐことが可能だ。

 さらに、同社のAPはDPIエンジンを内蔵し、「ExtremeAnalytics」と連携して通信先のアプリケーションをより詳細に分析する機能がある。ユーザー数と通信量、ネットワークおよびアプリケーションのアクセス時間などが分かる。

 例えば、スタジアム内の通信を分析したところ、一番ユーザー数が多いのはメッセージングアプリによる、知人とのコミュニケーションであることが判明した。そこでNFLは、有名選手をモチーフとした絵文字やスタンプの販売に力を入れているという。

エクストリームネットワークスのAP「ExtremeMobility AP505i」

エクストリームネットワークスのAP「ExtremeMobility AP505i」
IEEE802.11ax(Wi-Fi 6)にも対応している

平時のトラフィックから自動で学習 IoT端末を簡単に保護


 近年はIoTのセキュリティも課題となっている。例えば、医療分野では製造時にパブリックネットワークに接続することを想定していないIoTデバイスも多い。

 Smart OmniEdgeのラインナップの1つ、「Extreme Defender for IoT」はこれらの機器を保護するソリューションだ(図表)。ITの知識がなくとも、名刺1.5枚分ほどの大きさのアダプターを医療機器や監視カメラなどのイーサネットポートに接続し、アプリケーションが指示する手順通りに設定すれば、IPSecで暗号化し、セグメント化したオーバーレイネットワークを外部との間に構築できる。これにより、ユーザーは大幅なネットワークの変更を加えなくても、安全に IoT を導入できるのだ。

 また、平時のトラフィックパターンを学習し、企業に合わせてセキュリティプロファイルを自動的に生成する機能もある。

 エクストリームネットワークスは昨年、調査会社のガートナーから有線/無線のLAN Access Infrastructureについてのマジック・クアドラントにてリーダーの1社であると評価を受けた*。

図表 Defender for IoTの利用イメージ

図表 Defender for IoTの利用イメージ

 高い評価の背景には同社のサポート力もあると韓氏は話す。「すべてのサポート業務を自社エンジニアで行っており、初回の電話相談で94%の問題を解決しています」。技術力だけでなく、顧客に寄り添う姿勢が同社の成長に繋がっている。

 エクストリームネットワークスは5月29日から東京ビッグサイトで開催されるワイヤレスジャパン 2019で講演とブース出展を予定している。今回紹介した内容はSmart OmniEdgeのごく一部。ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

*出典:Gartner Inc. Magic Quadrant for the Wired and Wireless LAN Access Infrastructure、Bill Menezes et al., 2018年7月11日発行
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