ヤマハ ライトL3スイッチ「SWX3100-10G」 「3ない」状態なのにトラフィックは増加 行き詰まる小規模ネットワークを変革しよう

トラフィックが確実に増加するなか、ネットワークの運用管理の手間とコストもまた増大していく。高価なレイヤ3スイッチには手が出ないが、インテリジェントレイヤ2スイッチで運用でカバーしていくのも大変──。そんな悩みを抱える小規模ネットワークの管理者に、新たな選択肢をヤマハが提供している。
細江誠一郎氏(左)と平野尚志氏

ヤマハ 音響事業本部 事業統括部 SN事業推進部 国内営業グループ 主事の細江誠一郎氏(左)と主幹の平野尚志氏

 通勤・通学中でも家でも、動画等の大容量コンテンツをダウンロードして楽しむことはもはや当たり前。その波は、企業ネットワークにも及び始めてきた。

 ヤマハの音響事業本部 事業統括部 SN事業推進部 国内営業グループ 主事を務める細江誠一郎氏は「昔は、LANを流れるデータはOffice/PDF文書が大半で、利用する帯域もたかが知れていた。しかし今では、画像や動画といったリッチなコンテンツがやり取りされることも多い」と指摘する。この結果、ごく普通のオフィスでもギガ単位の帯域が求められるようになってきた。

 ここにさらに負荷を加えているのが、セキュリティ対策上必須となるOS/アプリケーションのアップデートだ。

 特にWindows 10では、半年に1回のペースで非常に大きなアップデートをダウンロードしなければならない。規模の大小を問わずあらゆる企業にとって、ネットワークアーキテクチャの見直しが迫られていると言えるだろう。

 だが、予算や人的リソースに余裕のない小規模ネットワークの場合、そう簡単には解決できない。高機能だが価格もそれなりのレイヤ3スイッチは中堅中小企業にとって高いハードルなので、ルーターでVLAN間のソフトウェア・ルーティングを行わせコアスイッチとして代用し、インテリジェントL2スイッチで何とか頑張って運用するなど限られた選択肢しかなかった。だが、LAN内トラフィックが増加すればするほどルーター側の処理能力は限界に近づいていく。転送速度に影響が出たり、悪い場合はWAN側にまで負荷がかかるといった影響が生じる恐れもある。

小規模LAN内ルーティングに必要十分な機能を提供


 ヤマハが2018年2月にリリースしたライトL3スイッチ「SWX3100-10G」は、こうした悩みにぴったりハマる選択肢になりそうだ。

 SWX3100-10Gはごくごく基本的な機能を備えたレイヤ3スイッチだ。セグメント分けなど、レイヤ3スイッチとして必要十分な機能を満たしつつ、専用LSIによるハードウェア処理で高速なルーティングを実現している。スタンダードL3スイッチ「SWX3200シリーズ」に比べ、ダイナミックルーティングやVRRPといった機能は思い切って省くことで、予算に限りのある小規模ネットワークでも稟議の通りやすい価格設定とした。

ライトL3スイッチ「SWX3100-10G」

ライトL3スイッチ「SWX3100-10G」。
希望小売価格(税抜)は7万4800円

 大きなファイルを頻繁にやり取りする業界の代表が、建築・デザイン業界だろう。3D CADが普及するとともに、構造物のさまざまな属性情報を付加し、施工時からメンテナンスに至るまでライフサイクル全体にまたがってサポートするBIM/CIMへの注目が高まりつつあり、それに伴って取り扱うデータサイズも大幅に増えている。

 そんな建築・デザイン事務所は従業員が少なく、ネットワークの規模も小さいが、その割に扱うべきデータ量は多い。そうした環境で、サービスプロバイダーが用意したルーター/ゲートウェイの下にさらにルーターを置いてLAN内のルーティングを行うのには自ずと限界がある。ルーターはルーターの仕事に専念させ、SWX3100-10Gがコアスイッチの役割を全うすることで、セグメント分けを適切に行いつつ高いスループットを実現する──。そんな新しい小規模ネットワークのあり方が求められている。

 また、そこまで本格的なLAN内ルーティング機能は必要としない環境でも、ライトレイヤ3スイッチは魅力的な選択肢だ。例えば、100床未満の比較的小規模な医療機関では、内部ネットワークは静的ルーティングで十分というケースも少なくない。こうした環境では、スタンダードなレイヤ3スイッチに代えてSWX3100-10Gを導入することにより、性能・機能は変わることなく大幅なコストダウンを実現できる。

 いずれのユースケースにおいても、セキュリティは欠かすことができない。SWX3100-10GはMACアドレスやWebなど複数の方式による認証をサポートし、アクセスすべき人だけがアクセスすべき場所に接続できる仕組みを整えている。それ以外にも「セキュリティの向上に継続して取り組んでおり、例えば以前はルーターでデフォルト許可していた外部からのtelnetを止めるなど、さまざまな側面からセキュリティを強化している」(細江氏)という。

図表 SWX3100-10Gによるネットワーク構成例

図表 SWX3100-10Gによるネットワーク構成例

「LANマップ」をはじめとするヤマハの便利な管理機能も搭載


 ヤマハのネットワーク機器はもともと、高度な専門知識を持ったエンジニアがいない環境でも簡単に使えることを念頭に開発されてきた。その使い勝手や管理性はSWX3100-10Gでも踏襲されており、ヤマハユーザーならば慣れたインターフェイスから管理が行える。

 そんな便利な管理機能の1つが「LANマップ」だ。各ポートの状態、その先につながっているデバイスを、複数のセグメントにまたがって1つのマップで確認できる。例えばマルウェアに感染した端末の場所を特定し、速やかにネットワークから切断するなどの措置がとれる。

 LANマップは他にも便利な機能を備えている。「スナップショット」はLAN全体を常時監視し、障害や操作ミスによって何らかの変更が生じると管理者に通知する。万一機器に問題が生じて入れ替えが必要になった場合には、「ゼロコンフィグ」が役に立つ。同型スタンバイ機をLANにつないで電源を入れたら、バックアップしておいた設定情報が自動的に復元される。機器交換するだけでネットワークを元に戻せるので、「一人情シス」状態の管理者には特に有用な機能だ。

 ユニークなところでは「端末の死活監視」がある。Pingだけでなくトラフィック流量を監視し、もしスイッチの先の端末が停止していると判断したら通知する仕組みだ。ネットワークカメラやセンサーのようなIoTデバイスがきちんと稼動しているかどうかも、スイッチ側で監視できるようになる。

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SWX3100のダッシュボード
LANマップの一覧マップ画面例

SWX3100のダッシュボード(上)とLANマップの一覧マップ画面例(下)。端末の稼働状況、トラフィック流量など様々な項目を監視できる

 こうした様々な機能を通じて「管理者の負荷を減らし、空いた時間を、その分本業や他のことに使うことができる」と、ヤマハ 音響事業本部 事業統括部 SN事業推進部 国内営業グループ 主幹の平野尚志氏は述べている。

 人もいなければお金も知識もない「3ない」状態のネットワーク運用を支援すべく開発されてきたのがヤマハのネットワーク機器。SWX3100-10Gも同様に、日本企業でよくある「運用でカバー」するのではなく、機械側で様々な作業を自動化して人間をサポートすることを目指して作られている。

 ひとたび運用を開始し、問題なく動いているならばなるべく手を加えたくない、というのがネットワーク管理者の本音だろう。だが、企業にとって欠かせないインフラだからこそ「ちゃんとした管理をしないと、全体として安定したネットワークは組めない」と平野氏は指摘する。トラフィックが増加し、ネットワークが果たす役割がますます大きくなる今だからこそ、適材適所で新しいネットワークのあり方を検討すべきだ。そのとき、SWX3100-10Gは非常に大きな力になるに違いない。

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