リバーベッドテクノロジー
技術本部長
草薙伸氏
ビジネスのデジタル化が加速する現在、アプリケーションのパフォーマンス(性能)を監視し、性能劣化を引き起こす要因をすばやく取り除くことは、円滑にビジネスを進めるために不可欠だ。パフォーマンスが劣化した状態を放置すれば、ビジネスそのものも停滞することになる。
だが、企業のIT環境は現在、このアプリケーションパフォーマンス管理(APM)を“やりにくくする”方向へとシフトしている。要因の1つはエンドポイントのモバイル化であり、もう1つは業務アプリケーションのクラウド化だ。
オンプレミスサーバー上で動作するアプリケーションをPCから利用することが当たり前だった従来は、単純にサーバー上で性能を監視すれば事足りていた。トラブルが発生した際の原因特定と復旧も、“固定的”なサーバーとネットワークを利用している状態なら、それほど困難ではなかった。
だが、今は違う。デバイスはスマートフォンやタブレットに代わり、アプリケーションもクラウドに場所を移した。1人の社員が複数のデバイスとSaaSを併用して業務を進めることも珍しくない状況だ。ユーザー自らが管理できないSaaSの性能は、従来のAPMの仕組みでは監視できないため、IT部門は「どこでパフォーマンスを監視すればいいのかわからない」状況に陥っているのである。
さらに、トラブルの原因特定も困難を極める。オンプレミスからクラウドまで多種多様なアプリケーションと複数のモバイルデバイス、そしてそれをつなぐネットワークのどこに問題があるのかを調査するには多大な労力と時間を要する。
これに解決策をもたらすのが、リバーベッドテクノロジーが提供するAPMソフトウェア「SteelCentral Aternity」である。デバイス上のローカルアプリでもサーバー上のアプリでも、そしてSaaSでも、これ1つでパフォーマンスを可視化し、性能劣化を引き起こす原因がどこにあるのかを迅速に特定できるようにする。
最大の特長は、「サーバー側ではなく、クライアント側でアプリ性能を測ること」だ。リバーベッドテクノロジーで技術本部長を務める草薙伸氏は、この仕組みによって「ユーザー側でマネジメントできないSaaSの性能も、Aternityなら簡単に測れる」と話す。
ユーザーは、PCやスマートフォン等のエンドポイントにAternityのエージェントを入れるだけでよい。このエージェントがデバイス/ユーザー、OS、アプリケーションの情報をクラウドに収集して統計情報を自動的に生成し、「ユーザーが実際に体験している品質を可視化する」(同氏)。ユーザー/デバイスごと、アプリケーションごとのふるまいをAternityが学習し、パフォーマンスの変化を引き起こす要因をすばやく通知する。
実際にどんな情報が見られるのか。
下画像は、Aternityを利用する企業全体の状況を表示したサマリー画面だ。アプリケーションごとにユーザーの体感品質がスコアリングされるとともに、「Usage Time」のグラフでその利用時間と快適に使えているか否かを表示する。
Usage Timeの棒グラフにおいて濃い青色で表示されているのが、「満足な性能が出ていない」割合だ。改善が必要と判断すればこの部分をクリックして、より詳細なデータを表示させたり、トラブルシューティングに移行することができる。ワンクリックでデータをフィルタリングできるので、問題の特定も容易だ。
例えば下の画面のように、Salesforceを利用しているユーザーの操作、ロケーション、ターゲットサーバーごとにレスポンスタイムを表示させるといったことも簡単にできる。特定の拠点/サーバーだけでレスポンスが極端に悪化しているといった状態がわかれば、原因が絞り込める。
このように、アプリケーション性能を常時監視することで品質劣化をいち早く検知して対処が行えるようになる一方、Aternityを使うことで、エンドユーザーから直接「アプリの反応が遅い」とクレームが寄せられた場合の対応も迅速化できる。
下画面のように、そのユーザーの操作履歴をリスト表示すれば、具体的に“何が遅いのか”を客観的に把握することが可能だ。クレームの内容は曖昧なことが多いが、Aternityの画面を見れば、例えば特定のアプリだけが“遅い”のか、それともあるデバイスを使ったときだけ問題が起きているのかなど、ユーザー全体のデータとも比較しながら原因を絞り込むことができる。
これにより、「デバイスなのかネットワークなのか、あるいはSaaSなのか、問題点を絞り込んだ上で適切なところに連絡して対処させることができるようになる」(草薙氏)。品質劣化を引き起こしている原因を特定するための作業を大幅に軽減できるため、IT部門の負荷は大幅に軽減されるはずだ。
リバーベッドはICTインフラ全般を対象とする多様なモニタリング製品を提供しているが、「なかでも、グローバルでいま最も伸びている製品がAternityだ」と草薙氏は話す。「あらゆる業種で利用されており、特に金融機関のようにオンライントランザクションがビジネスに直結するようなお客様では、数万台のクライアントでAternityを使われているケースもある」という。
また、Aternityの導入目的や用途も広がっているようだ。最も多いのは、先述のようにIT部門の作業負荷軽減を目的としたものだが、そのほかにも様々な用例が出てきている。
例えば、クライアントPCをWindows 10に移行する際や、新たにVDI(仮想デスクトップ)を導入する企業が、その前後のパフォーマンス測定や投資効果の検証に用いるケースがある。性能劣化が心配されるこうした場面でAternityの機能を使って、そのインパクトを調査するのだ。Windows 10への移行時にAternityを使って問題解決を測ったある企業では「たった1日で、クライアントのメモリ不足が性能劣化の原因だと特定することができた」(草薙氏)という。
また、エンドユーザーの体感を改善することは、昨今多くの企業が取り組んでいる働き方改革にも貢献する。在宅勤務や社外での業務を行う際には、社内と異なる環境でアプリケーションを利用するためパフォーマンスが劣化しやすい。これをモニタリングして改善を測ることは、生産性の向上につながる。さらに、在宅勤務時に使っているアプリケーションの種類や稼働時間も正確に把握できるため、社員の行動をチェックするツールとしても役立つだろう。
なお、Aternityは端末1台あたりの月額課金制(1.75~6ドル。ボリュームディスカウント有り)で使えるため、初期投資を抑えて利用を始められる。試用ライセンス(期間は3カ月)も用意されているため、手軽に試せるのも嬉しいポイントだ。APMの導入を検討中の企業にとって、Aternityは適切な選択肢となるに違いない。
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