リボン・コミュニケーションズ 多様なリアルタイムコミュニケーションを提供 シームレスな通信の実現を目指す

SBC(Session Border Controller)を強みとするソナス・ネットワークスとジェンバンドが合併して誕生したリボン・コミュニケーションズ。顧客ごとの細かな要望にも対応する「ユーザーオリエンテッド」な企業文化は、日本でも評価が高い。セキュリティやクラウドサービスなどSBCにとどまらない、多様なリアルタイムコミュニケーションの提供に意欲を見せる。
(左から)日本法人カントリーマネージャーの日野達基氏とシステム技術部プリンシパルシステムエンジニアの石川純子氏

(左から)日本法人カントリーマネージャーの日野達基氏とシステム技術部プリンシパルシステムエンジニアの石川純子氏

 ビジネスを円滑に進める上で、上司や同僚、あるいは取引先との密なコミュニケーションは不可欠だ。

 電話やメール、チャットなど企業におけるコミュニケーションの手段が多様化するなか、ユーザーの間ではセキュアかつ安定したやり取りに対するニーズが高まっている。

 こうした要望に応えるリアルタイムコミュニケーション・ソフトウェアやクラウドソリューションを提供しているのが、米リボン・コミュニケーションズだ。

 2017年10月にソナス・ネットワークスとジェンバンドが合併して誕生した同社は、世界27カ国に約2500人の社員を擁し、600以上の通信関連特許を保有する。顧客には日米欧のTier1/Tier2通信事業者およびMVNO、各国の金融機関や航空会社、小売り、製造業、米国の主要政府機関などが名を連ねる。

 グローバルに事業展開するリボン・コミュニケーションズにとって日本は、前身のソナスが1997年に参入して以来、一貫して重要なマーケットに位置付けられてきた。

 日本市場において特に高い評価を得ているのが、SBC(Session Border Controller)と呼ばれるゲートウェイだ。

 同社のSBCが日本で支持を集めているのは、その高いパフォーマンスや品質に加えて、「ユーザーオリエンテッドな対応」によるところが大きい。

 日本法人には、SE部隊に加えて導入時の構築、導入後の運用を支援するサービス、サポート部隊がいる。「リアルタイムコミュニケーション分野で最も優秀なスタッフが揃っていると自負しています」。日本法人カントリーマネージャーの日野達基氏がこう語るように、豊富な経験やノウハウを持つメンバーが多い。もともとSBCは通信事業者を主な顧客としていたが、国内では通信事業者の数が限られているため、「お客様の信用を失墜すれば次はない。受注して終わりではなく、サービスが稼働するまでコミットメントすることをモットーにしてきました」とシステム技術部プリンシパルシステムエンジニアの石川純子氏は話す。

 この言葉通り、日本仕様の細やかなサポートはもちろんのこと、ユーザーごとの個別の要望に対し、製品のチューニングやときにはソフトウェアの新規開発によって最大限に応えることで、実績を積み重ねてきた。こうしたスタッフの真摯な取り組みが、日本市場での成功に大きく寄与しているという。

図表1 Ribbon SBCのイメージ

図表1 Ribbon SBCのイメージ

日本のSBC市場でナンバーワンに PSTNのIP網への移行に商機


 リボン・コミュニケーションズになっても顧客第一の企業文化は引き継ぎながら、(1)SIPインターコネクト、(2)セキュリティ、(3)クラウドサービスの3分野にフォーカスしていく。

 1つめのSIPインターコネクトは、その中核製品であるSBCに通信事業者向けとエンタープライズ向けがある。

 通信事業者のネットワークは、固定・モバイルともIP化が進んでいる。なかでも固定電話はNTTが2024年1月からIP網への移行を開始する計画。従来、PSTN(公衆交換電話網)は「ハブ機能」を提供することで、電話サービス事業者間の音声呼の疎通を仲介してきた。それが移行後は、各事業者間をIP網で相互に接続しなければならず、SIPインターコネクトSBCが必要となる。

 国内にPSTNに接続している事業者は30社以上あり、その多くがIP網接続に意欲的と見られていることから、「シェアの大半を取っていきたい」と日野氏は意欲を見せる。

 一方、エンタープライズ向けでは、「Microsoft Office 365」のコミュニケーション機能である「Microsoft Teams」から外線電話の発着信を行えるようにする「Microsoft Teams Direct Routing」が6月に正式リリースされたが、リボン・コミュニケーションズはTeamsとPSTNをつなぐSBCもいち早く提供を開始した。このSBCにより、Skype for BusinessからTeamsにコミュニケーション機能を移行したい企業や、PBXの更改を機にTeamsの採用を検討している企業はマイグレーションを容易に実現することができる。

 SIPインターコネクトは、ソナスとジェンバンドがともに強みとしてきた分野。「リボン・コミュニケーションズにとっても最も重要なセグメントの1つ。日本でも絶対的な地位を築き上げたい」と日野氏は意気込む。

最新の技術をセキュリティに活用 Wrapperで手軽にコミュニケーション


 リボン・コミュニケーションズは従来の強みを活かしながら、新たな価値の提供にも積極的に挑戦しようとしている。

 そうした取り組みが、2つめのセキュリティだ。

 ネットワークが専用線からインターネットに移行したことでセキュリティ対策が必須となったように、音声コミュニケーションも単なる電話からUC(ユニファイドコミュニケーション)への移行が進むにつれ、サイバー攻撃の脅威が高まっている。日本ではあまり認知されていないが、海外では米国を中心に被害が急増している。そこでリボン・コミュニケーションズは7月末に、セキュリティ対策用ソフトウェア製品「Ribbon PROTECT」をリリースした。

 Ribbon PROTECTは、SBCから集めた様々な情報をプラットフォーム上で解析。従来とは異なる不審な動きを検知すると迅速に攻撃を止め、被害を最小限に食い止める。

 Ribbon PROTECTにはDockerやKubernetesなど最新のテクノロジーを活用し、アプリケーションを構成するコンポーネントをコンテナ化している。このため、「コンテナが分散・独立して動くので、ソフトウェアの変更もコンテナ単位でスピーディに行えます」(石川氏)。また、アジャイル開発により、ユーザーの要望を素早く反映し、必要な機能をどんどん追加していくという。

 来年にはMachine Learningも実装する予定で、現在R&Dにて、Facebook のProphetやGoogle Duplexで使われているTensorFlowを使用したプロトタイプを作成中だ。Machine Learningを使うと、ユーザー固有のパターンを学習することができるため、さらに高度なセキュリティ分析や検知が可能になる。

図表2 Ribbon PROTECTプラットフォームの全体像

図表2 Ribbon PROTECTプラットフォームの全体像

 そして3つめのクラウドサービスもリボン・コミュニケーションズにとって新たな挑戦となる。今後注力していく「Kandy」は、音声通話やプレゼンス、チャット、ビデオ会議などリアルタイムコミュニケーションの機能をAPIで提供するCPaaS(Communications Platform as a Service)として、ジェンバンドの製品をより進化させたものだ。

 Kandyがユニークなのは、特にニーズの高いコミュニケーション機能を安価にパッケージ化したサービス「Wrappers」を提供していること。これにより、Webサイトのお問い合わせ窓口なども「ほんの数分で」簡単に設置することが可能となる画期的なクラウドサービスだ。

 海外では、米ロサンゼルス市の電話システムの更改に際してKandyの多彩なリアルタイムコミュニケーションが採用され、市民サービスにも活用されている。日本でも今後公共や自治体等がマルチメディアコミュニケーションにシフトしてくれば、高価な設備の必要がなくクラウドで簡単に提供できるKandyの需要が高まることが期待されるという。

 リボン・コミュニケーションズのリボンには、「通信を飾り紐のようにシームレスにつなぎたい」という思いが込められている。2つの会社が1つになったことで、従来の枠にとどまらない、新しいリアルタイムコミュニケーションの提供を目指している。

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