ヤマハのネットワーク機器といえば、ルーターが有名だ。なかでも人気の高い「RTXシリーズ」は、SIerの立場で、あるいはエンドユーザーの立場で触れたことがある読者も多いのではないだろうか。
ヤマハは、このルーターのほかにもL2スイッチから無線LANまでネットワーク製品ラインナップを広げてきたが、それらすべてに通じるのが、低価格でありながら業務用として使える堅牢性や機能の多彩さ、そして運用の容易さを併せ持つという点だ。
無線LANアクセスポイント(AP)製品の「WLX202」「WLX402」にも、その魂は受け継がれている。
エントリーモデルのWLX202、高機能モデルのWLX402とも、100端末まで同時接続可能で、IEEE802.11acの高速通信に対応するなど、無線APとしての基本機能はしっかり押さえている。
IEEE802.11ac Wave 2に対応するWLX402なら、最大1.7Gbpsでの超高速通信も可能だ。しかもその際、「無線APまでのネットワークがボトルネックにならないよう、1Gbpsポートを2つ備え、リンクアグリゲーションで最大2Gbpsの通信を実現している」と、SN事業推進部国内営業グループ・主事の細江誠一郎氏は高速な通信を支える工夫について語る。
また、WLX402の裏側に反射板(標準提供)を取り付けると、APの前面側の電波の飛びを向上させられるという、なんとも気の利いた工夫もある。AP全面側の電波状況を改善しながら、AP後方へは無駄に電波が飛ぶのを防ぐことが可能で、セキュリティの面からも評価が高いという。
こうした基本性能の高さや業務使用にも耐える堅牢性、安定性の高さが評価され近頃は文教系からも熱いまなざしが向けられているという。最近では岡山県倉敷市が、市内の公立小中学校向けに300台のWLX202を導入した。
さらに特筆したいのは、セキュリティ機能までを含めたオールインワン設計になっていることだ。上位機種のWLX402はRADIUSサーバー機能を内蔵しており、強固なセキュリティを実現するEAP-TLS認証に単体で対応する。「電子証明書の発行、管理まで無線AP単体で可能」なのだと細江氏は胸を張る。
同様のことを一般的な無線APで実現しようとすれば、無線APの他に証明書を発行・管理するプライベートCA(認証局)やRADIUSサーバーを用意しなければならない。低価格のものを使ったとしても数十万円の機器コストがかかるうえ、複数の機器を運用管理する手間も必要になる。WLX402ならば、そうした追加コストは不要だ。
それでいて、WLX402の希望小売価格は9万9800円(税抜)とバツグンのコストパフォーマンスを誇る。
なお、電子証明書によるセキュリティが必要な規模のネットワークとなれば複数の無線APが必要になると想定されるが、そのすべてをWLX402で揃える必要はない。希望小売価格3万9800円(税抜)のWLX202が使えるからだ。細江氏によれば、「WLX402とWLX202を混在させた環境でも、WLX202の外部RADIUSサーバー連携機能を使えば、WLX402で発行した証明書を使って認証できる」とのこと。つまりネットワーク内にはWLX402は1台あればいいのだ。
認証局が1機だけでは不安だという向きもあるかもしれない。その場合はWLX402を2台以上ネットワークに配置するといいだろう。「認証機能を担うWLX402に障害が発生した場合には、もう1台のWLX402が認証や無線LANコントローラー機能を引き継いでくれるので、シングルポイントの故障によってネットワークが使えなくなる心配がない」とSN事業推進部ネットワークマーケティンググループ・主事の牧野秀彦氏がお勧めする構成だ。
高度な機能の説明が続いてしまったが、だからといってWLX402/WLX202の導入ハードルが高いわけではない。ユーザーフレンドリーなGUIが備わっており、ネットワーク管理の入門者でも日々の運用で困ることはないはずだ。
WLX402なら運用現場で求められる便利な機能も複数備わっている。1つが、無線通信ログの収集だ。
無線APを複数配置して利用する場合、ローミングに失敗したり、つながりにくいAPに接続してしまったりというトラブルが起こりがちだ。しかし、「WLX402には無線LANコントローラー配下のAPのログを収集して一括管理する機能があるので、端末がどのAPに接続してどのような挙動をしたのかが一目瞭然」だと、細江氏は教えてくれた。トラブル発生の原因を調査・特定する作業がしやすくなる。
なお、収集されたログはUSBメモリに蓄積され、管理用GUI画面からも手軽に検索できる。
また、AP近辺の無線LAN通信状況を可視化するツールもあり、電波干渉を避けるようチャネル設定や出力を調整する際の手助けをしてくれる。
さらに、ヤマハ製ルーターを使っている場合には、WLX402/WLX202の魅力がより高まる。
ルーター配下にあるネットワーク機器を有線、無線問わず統合管理できるようになるからだ。「ネットワークに接続されているネットワーク機器、端末の状況まで可視化できるので、より一層管理しやすくなる」と細江氏(下画像)。ネットワーク上に未登録の端末が接続された場合や、普段接続されている端末が外された場合にアラートを上げる機能もあり、セキュリティの向上も期待できる。
こうした管理機能は、ルーターにVPN接続することで、遠隔地からでも利用できる。本社等から複数拠点のネットワークを一元管理できるのだ。
さらに、ヤマハが提供しているクラウド型のネットワーク管理サービス「Yamaha Network Organizer(YNO)」を使えば、「VPN接続をせずとも遠隔拠点のネットワーク状況を確認できる」と牧野氏は説明する。
ヤマハはYNOの機能をどんどん拡充する計画であり、現段階ではネットワーク状況を「見る」だけだが、「今後の機能によって、設定画面にもアクセスできるよう進化させる予定」だと牧野氏は話す。これが実現すれば、多数の拠点を展開する企業・組織にとって、運用負荷削減に大きく貢献することは間違いない。
そうした将来性も含めて、無線LANの運用負荷低減、セキュリティ強化を検討しているなら、ぜひWLX402/WLX202をチェックすべきと言えるだろう。
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