WANの増設・変更、再構築を検討する企業から、いま最も注目を集めているソリューションがSD-WANだ。専用線やIP-VPN、インターネット等の複数の回線を併用しながら、その上で目的・用途に応じたオーバーレイ型の仮想網を柔軟に構築できるようにするソリューションである。
これからの企業は、ビジネス上の要件に即応できる柔軟なICTインフラを構築する必要があるが、SD-WANはまさにそうした要請に応えて生まれたものだ。従来は固定的だったWANを“動的”に使いこなせるようにすることで、拠点の増減や帯域需要の変動に即応できる企業ネットワークを実現する。
このSD-WANを提供するベンダーは今では数十社にも上るが、中でも採用実績、導入規模でも群を抜くのがViptelaだ。例えば、米最大の医療機関であるKindred Healthcareは700拠点にViptelaを導入。WANのコスト削減と利用効率の改善に大きな成果を上げている。他にも、30カ国・120拠点を展開するAgilent Technologiesなど、グローバル企業にも採用は広がっている。大手金融が3000拠点に導入した例もある。
日本法人ヴィプテラ・ジャパンでシニアシステムズエンジニアを務める小松康二氏は、「WANを思うように使いこなせていなかったお客様の『コストを抑えつつ環境を改善したい』というニーズにきちんと応える機能を持っていることがViptelaが選ばれる理由だ」と話す。
2017年は国内でも着実にSD-WANの導入が進みそうだ。国内で最初にViptelaと販売代理契約を結び、15年末から販売している日商エレクトロニクス・ネットワーク事業部の真木吉人氏は「商用稼働に向けてPoC中のお客様も多く、引き合いも増えている」と話す。
加えて、“2つの進化”によって、Viptelaの魅力もさらに高まっている。
1つは、拠点に設置する「vEdge」に、LTE回線に対応した新モデル「vEdge-100m-NT」が加わったこと。NTTドコモのLTEおよび同社のMVNO(OCN モバイルONE、SORACOM Air、IIJmio等)を足回りの回線として使えるようになったのだ。まさに“持ち運べるSD-WAN”だ。
従来は、固定回線の開通までにどうしても1カ月程度はかかっていたが、vEdge-100m-NTを使えばその待ち時間は無くなる。これを拠点に持っていき設置するだけで、数分でWANが構築できる。必要な設定を自動で行うゼロタッチプロビジョニング機能によって、「今までにない速度で新拠点を開設できるようになる」(真木氏)。
また、LTEエリア内であれば場所を問わずに使えることも大きな利点だ。固定回線が引きにくい山間地域や工事現場、あるいは一時的な拠点でも、vEdge-100m-NTを持っていくだけでよい。日商エレクトロニクスは早速、Viptelaを検討中の企業にこの新モデルを紹介しているが、「出たらすぐにでも使いたい」との声が寄せられていたという。真木氏は、「競合のSD-WANベンダーに対する強力な差別化ポイントになっている」と話す。なお、前述のKindredはすでに複数拠点に導入し、その効果を実証している。
2つ目は、クラウドを使いやすくするための新機能「Cloud Express」だ。SaaS利用時に、最も高いパフォーマンスが得られる回線を自動判別して最適な経路を選択する機能である。回線の品質や使用状況等を測定し、クラウドに接続するための「最も良い出口」を見つけ出してくれる。
この2つの新機能はいずれも「ビジネスのスピードを向上させたい」というニーズに、より高い次元で応えるものだ。進化したViptelaは今後も、SD-WAN普及を引っ張る存在となりそうだ。