(左から)執行役員テクノロジーソリューション本部副本部長兼技術戦略本部副本部長の腰高明氏、コミュニケーション統括部第一技術部副部長の稲岡聖将氏、商品企画統括部統括部長の福井徹氏
昨今、スマートデバイスの導入が進み、セキュリティや信頼性への対応が進んでいることで、クラウドサービスを業務に活用する企業が増えている。数あるクラウドサービスの中でも業種や規模を問わず高い支持を集めているのが、日本マイクロソフト「Office 365」だ。
企業では、もともとWordやExcelといった「Microsoft Officeアプリケーション」やグループウェア「Microsoft Exchange」をオンプレで利用していてなじみがあることに加えて、多くの企業で採用しているWindows OSとの親和性の高さなどが、Office 365が選ばれる理由となっている。
とはいえ、いざ導入するとなると、企業ではシステムの移行や連携への不安がつきものだ。また、Office 365の1サービスとして提供されているコミュニケーションプラットフォーム「Microsoft Skype for Business」(以下、SfB)については、インスタントメッセージ(IM)やWeb会議などの機能が高い評価を得ている反面、その音声通話に関して「通話品質に違和感を感じる」「トラブル時の切り分けが難しい」といった声が、PBXによる従来型電話システムに慣れている利用者からは聞かれる。
SIerの都築電気は、こうした課題を解決し、Office 365の導入から運用までを支援する「TCloud for Office 365」を提供している。
「コミュニケーションシステムをワンストップでサポートできることで、他社との差別化を図りやすく、提案しやすくなっている」と商品企画統括部統括部長の福井徹氏は話す。
TCloud for Office 365は、導入を支援する音声最適化ソリューション「Skype for Businessデプロイサービス」と、運用を支援する「Office 365マネージドサービス」の2本柱で構成される。
2年前に提供を開始したSkype for Businessデプロイサービスは、既存のPBX環境とSfBのハイブリッド型構成により音声(VoIP)を最適化するもので、(1)スマートフォンの通話料金を削減できる、(2)社内外のどこにいても内線電話として利用できる、(3)電話交換機と接続して内線番号で発着信できる、(4)災害時でも発信規制されず繋がりやすい、といったメリットがある。
都築電気は1932年に電話を中心とする電気通信設備工事業者として創業して以来、80年以上の実績により、音声に関する技術力の高さやノウハウの豊富さを強みとする。顧客企業との付き合いも長く、今もPBXを利用しているところが多い。それらの企業では全面的にSfBに移行することは難しいが、ハイブリッドでの提供により、段階を踏んだSfBへの移行が可能だ。「PBXからSfBへの移行の過渡期にある企業に、Skype for Businessデプロイサービスを通じてノウハウを提供できるのは当社ならではの強み」とコミュニケーション統括部第一技術部副部長の稲岡聖将氏は述べる。
サービスメニューの1つであるトライアルサービスは、PBX機能も含めたSfBの全機能を最長1カ月間提供し、050番号による外線通話にも対応する。都築電気が自社のデータセンター内に構築したトライアル環境をネットワーク経由で使えるため、ユーザー企業はサーバー構築やライセンス購入の必要がない。20アカウントあたり20万円~という低コストで実際に音声品質などを確認することが可能になるとあって、企業の間で好評だという。
2015年10月から提供しているOffice 365マネージドサービスは、Office 365全般のヘルプデスクを代行する「Office 365ベーシックサービス」を基本として、人事異動や入社・退社によるアカウント登録やアクセス権変更などを行う「Office 365情報登録サービス」のほか、「Skype for Business運用代行トラブル切り分けサービス」「Skype for Business運用代行サーバ監視サービス」「Skype for Business運用代行音声品質測定サービス」「Skype for Business運用代行情報登録サービス」というように、音声技術と運用を含む6種類のメニューで構成される(図表)。
同社では4年前からSfBを社内に導入して、その機能や運用方法の検証・検討を行ってきた。現在は約1400人いる全社員(派遣社員を含む)が、PBXとSfBのハイブリッドで運用している。
社内で運用する過程で社員からあがってきた問い合わせや、さまざまなトラブルへの対応を通じて培った気づきやノウハウをサービスに反映しているという。
運用サービスは他社も提供しているが、エンドユーザーからの問い合わせを直接受け付けているのは都築電気以外にほとんどない。「エンドユーザーからは同じような内容の問い合わせが殺到することが多く、システム管理者ではさばききれない。システム管理者に代わって我々が対応することで負荷を軽減できる」と執行役員テクノロジーソリューション本部副本部長兼技術戦略本部副本部長の腰高明氏は説明する。
同社はグループ会社を通じてヘルプデスクやコールセンターを運営しており、そこで問い合わせに対応する。現在、Office 365マネージドサービスの問い合わせ対応時間は、Skype for Businessサーバ監視サービスを除いて平日9時~17時だが、要望があれば時間延長や24時間365日対応も検討するという。
都築電気では今後の構想として、マイクロソフトが音声の領域に注力し始めたことで同社のビジネスとの親和性がいっそう高まることから、SfBを中心にTCloud for Office 365のサービスメニューを拡充していく。
一例として、SfBはゲートウェイやIP電話機などのハードウェアは他社製品を採用する「マルチベンダー」環境が避けられないが、コミュニケーションツールは何よりも安定性が重視される。そこで、SfBとのスムーズな連携を可能にするゲートウェイやIP電話機の最適な組み合わせをパッケージ化して提案する体制を整える。
また、日本企業に根強いニーズのある組織階層をツリー表示した階層型アドレス帳など、日本企業特有の電話の使い方を補完するアドオンソリューションの提供も検討している。
さらに、Office 365サポートサービスのグローバル対応も進める。近年、日本企業の海外進出が盛んになっており、グローバルでコミュニケーション環境を統一する動きも見られる。そうなったときに、海外拠点からの問い合わせも増えることが予想されるため、コールセンターの多言語対応も視野に入れている。
都築電気はこの4月、商品企画統括部を新設した。「クラウドやUC、運用の各部隊との連携を取りながら企業のニーズやシーズをつかみ、都築電気ならではのサービスを提供していきたい」(福井氏)考えだ。
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