<特集>ローカル5G超入門 「基本」から「一歩先」までこれだけは知っておきたい!ローカル5Gの基礎知識(2)「自己土地利用」「準同期」など必須用語をやさしく理解

これだけは知っておきたい!ローカル5Gの基礎知識。2回目となる今回は、自己土地利用と他者土地利用、ローカル5G用の周波数、SAとNSA、準同期など、知らないと困る必須知識をやさしく解説した。

1 自己土地利用、他者土地利用とは?モバイルキャリアは全国あまねくエリアを構築しサービスを提供している。では、ローカル5Gでも同様に、免許を取得すれば全国どこでもエリアを自由に構築できるのだろうか─。答えはノーだ。現状のローカル5G制度は、「自己土地利用」が基本となっているからだ。

自己土地利用とは、建物や土地の所有者が、自己の建物内あるいは土地内でローカル5Gのエリアを構築することを指す(図表)。建物や土地の所有者の依頼を受けたSIerなどが構築した場合も自己土地利用に当てはまる。

図表 自己土地利用と広域利用のイメージ(画像クリックで拡大)

図表 自己土地利用と広域利用のイメージ

これに対し、他者が所有する建物や土地を利用するケースは「他者土地利用」と呼ばれ、いくつかの制約が設けられている。

まずは、移動通信に用いることはできない。端末が移動しない固定通信に限られる。また、自己土地利用が優先し、自己土地利用が存在しない場所に限って他者土地利用は導入できる。他者土地利用の無線局を開局後、自己土地利用の免許申請が行われた場合は、自己土地利用の無線局に混信を与えないように、他者土地利用側がアンテナの位置や方向を調整する必要がある。

大学のキャンパスや病院など私有地の敷地内の間を通っている公道や河川などは他者土地利用になるが、誰かがローカル5Gを開設する可能性は極めて低いことから、自己土地利用と同等の扱いになる。

広域利用を前倒しで検討

現行制度ではこのような制約があるため、自己土地を大きく越えてローカル5Gを展開することは難しい。ただ、この状況はまもなく変わりそうだ。他者の土地も含めて広範囲をカバーする「広域利用」を要望する声が多く上っているためである。例えば阪神電鉄は、線路に沿ってローカル5Gをカバーすることで、踏切やホームの安全性向上に活用しようとしている。

総務省は従来、ローカル5Gの最初の再免許交付時期を迎える2025年頃までに広域利用について検討するとの方針を掲げてきた。しかし、多くの要望が寄せられたため、2021年12月に再開した「新世代モバイル通信システム委員会」で、広域利用の検討を開始した。早ければ2022年中にも広域利用が認められる可能性が高い。

月刊テレコミュニケーション2022年2月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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