<特集>ローカル5G超入門 「基本」から「一歩先」まで
これだけは知っておきたい!ローカル5Gの基礎知識 (1)ローカル5Gとは?
文◎business network.jp編集部
2022.03.11
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「ローカル5Gに大きな注目が集まっているが、実はよく理解できていない」。そんな悩みを抱えるビジネスパーソン向けに、今さら聞けない初歩から必須用語、導入方法までを解説する。今回は「ローカル5Gって何?」「パブリック5Gとの違い」「ローカル5Gで何ができる?」「Wi-Fiではダメなの?」の4つの疑問に答える。
2.パブリック5Gとの違いモバイルキャリアが公衆サービスとして提供するパブリック5Gとローカル5Gにはどんな違いがあるのだろうか。通信事業者以外に「キャリア」と呼ばれる企業に航空会社があるが、プライベートジェットとの違いにたとえると分かりやすいかもしれない。
航空会社の旅客サービスを利用する際、我々はあらかじめ決まっている運航路線や運行時間などから選択するほかない。日本から渡航する人が少ない国・都市であれば、直行便は当然ないだろう。
一方、プライベートジェットなら、ルートや出発時間はもちろん、航空機や乗務員、一緒に行く乗客まで、すべて自分で決められる。
自身のニーズに合致した5Gネットワークを自ら構築できること。それがパブリック5Gとの違いである。
中間的選択肢も
例えばエリアだ。モバイルキャリアはトラフィックの多い場所のエリア整備を優先させる。ローカル5Gなら過疎地も自らエリア化できる。
ユースケースに応じて、柔軟にスペックを調整できる点も特徴だ。4K/8Kなどの高精細映像のアップロードに5Gを使いたいというニーズは多いが、パブリック5Gはスマホ向けに下り重視の設計になっている。ローカル5Gであれば、上り優先にも設定できる。
外部要因にも左右されにくい。例えば災害時、パブリック5Gに輻輳が生じても、ローカル5Gなら自身のネットワークに被害がなければ影響を受けない。プライベートジェットが機内でもプライベート空間を保てるように、データの秘匿性が高いのもメリットだ。
このようにローカル5Gには多くの利点があるが、課題はコストだ。単なる贅沢品にしないためには、それなりの利用規模と導入効果が求められる。
そこでパブリック5Gとローカル5Gの中間的なサービスも検討したい。5Gではネットワークスライシングという仕組みにより、ユーザー毎やアプリ毎に別々のネットワークを仮想的に提供できる。つまり、「仮想プライベート5G」というべきサービスが実現可能で、すでにソフトバンクが「プライベート5G」というサービス名で2022年度に提供開始すると発表している。

月刊テレコミュニケーション2022年2月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)