ICT×未来

<特集>IoTと宇宙(最終回)

センチメーター級測位がIoTを変える

文◎唐島明子(編集部) 2017.12.21

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準天頂軌道のみちびき2、4号機
(提供:内閣府宇宙開発戦略推進事務局)

日本版GPSとも言われる「みちびき」のサービスが、2018年4月からオープンになる。これまでの「誤差10メートルの測位」から「ピンポイント測位」の世界に突入だ。IoTにおけるGPSの活躍範囲は格段に広がる。

 
クルマのナビゲーションから高齢者の徘徊対策、建設機械の位置管理、登山者のトラッキング……。GPSは、数えきれないほどのIoTアプリケーションで活用されている。

そんなGPSの利用シーンが2018年4月、飛躍的に拡大・高度化する。これまで利用実証などが行われてきた日本の測位衛星「みちびき」のサービスが、いよいよオープンに利用可能になるからだ。

GPSの可用性を向上みちびきがもたらす変化は、大きく2つに整理できる。「GPS補完」と「GPS補強」だ。

1つめのGPS補完は、GPSの可用性を向上させる。みちびきのカバレッジには、日本のほかにも、東南アジアやオーストラリアも含まれる。これらのエリアでGPS測位の安定性が高まる。

そもそもGPSとは、GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)の1つで、米国政府が運用する衛星測位システムのことだ。世界中で利用されている米国のGPSは現在、合計31機のGPS衛星で地球全体をカバーしながら、地球に向けて測位信号を配信している。なお、GNSSには、GPSのほかにも日本のみちびきはもちろん、ロシアの「GLONASS」、欧州の「Galileo」、中国の「BeiDou」などがある。

衛星測位を行うには、衛星からの測位信号を受け取る受信機(例:スマートフォンやトラッキング端末)は、少なくとも4機の衛星から測位信号を受信することが必要になる。安定した測位精度を出すには8機以上が望ましいとされている。ある地点から見えるGPS衛星の数は基本的に6機だが、高層ビルが立ち並ぶ都心、山間部など、上空の見晴らしが悪いロケーションでは6機すべてを視界に捉えるのは難しく、4機以下になることもある。このため、GPSによる測位が困難なエリアは、実は意外に多い。

しかし、みちびきのサービスが始まれば、視界に捉えられるGPS衛星の数が少ないことによる測位不良は、一気に改善することになる。GPS衛星と同一周波数・同一時刻の測位信号を配信するみちびきは、GPSと一体的に運用可能な衛星測位システムであり、みちびきがGPS衛星を補完できるためだ(図表1)。

 


図表1 みちびきはGPS互換

図表1 みちびきはGPS互換
出典:qzss.go.jp



2017年10月10日、4号機の打ち上げ・切り離しが成功し、みちびきは4機体制になった。4機のうち1機(3号機)は常に赤道付近の上空に滞在する静止衛星で、3機(1、2、4号機)は“8の字”を描く準天頂軌道衛星だ(図表2)。

 


図表2 4機体制になった「みちびき」の軌道とカバレッジ
図表2 4機体制になった「みちびき」の軌道とカバレッジ



1、2、4号機は、準天頂の名の通り、「日本のほぼ真上(仰角70度以上)」を通過する(図表3)。3機は交互に仰角70度以上に約8時間滞在するため、少なくとも1機は常に日本の準天頂にいる構成になっている。つまり、みちびきは24時間体制で、高層ビルや山の影響を受けづらい真上から測位信号を配信する。

GPSの受信機からすると、見えるみちびきの数だけGPS衛星が増えた状態となり、GPSによる測位の可用性と精度が大きく高まることになる。

 


図表3 準天頂軌道衛星にあるみちびきの見え方
図表3 準天頂軌道衛星にあるみちびきの見え方
出典:qzss.go.jp



これまで十分なトラッキングができなかったエリアでも、従来より安定的かつ高い精度で測位できるようになるのだ。みちびきを運用する内閣府は、さらに2023年度には7機体制に増やす計画を立てている。
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