企業向け無線LAN製品ガイド【後編】――ベンダー選びの決め手となる注目機能

有線LANと遜色のない速度を実現したIEEE802.11n。2009年9月に標準化が正式に完了したのを受け、最近、企業ユーザーの間で無線LAN導入の動きが活発になってきている。後編では、製品選びの決め手となる各社の注目機能を解説する。

IEEE802.11nの導入メリットなどについて見た前編に続き、この後編では企業向け無線LANベンダー各社の製品の特徴について解説していく。まずは主要ベンダーの無線LAN市場に対する見方や取り組み内容について紹介しよう。

シスコシステムズ パートナー・ビジネス シニアシステムエンジニアの原誠氏は、「最近になってようやく無線LANのセキュリティに対する理解が浸透するようになり、AESや802.1x、不正AP検出など、備えさえあれば有線相当であることが認知されるようになってきた」という。ただ一方で原氏はこうも話す。「当社では、企業向け無線LAN分野において、すでに十分なセキュリティ機能と高速性能を提供しているが、残念ながらユーザーはこれを使い切っていないのが現状だ」。そこでシスコシステムズでは、ユーザーに同社の無線LAN製品の機能を十分に使いこなしてもらえるよう、そのためのアドバイスに注力しながら販売活動を進めているとのことだ。

この背景には、企業向け無線LANの場合、かなり以前から電波干渉が問題になっているという事情がある。「オフィスでは、以前から電子レンジなどWi-Fi以外のデバイスから妨害電波の影響を受けてきた。また、最近ではスマートフォンやゲーム機などのWi-Fiデバイスが急増していることで、これらの管理対象外のWi-Fiデバイスが干渉源になってきた」と同社テクニカルデベロップメント プロダクトマネージャーの竹山哲治氏は指摘する。だが、こうした干渉の問題の多くは、最新の無線LAN製品の機能を活用することで回避できる。シスコシステムズでは従来から干渉問題の解決に力を入れているが、新たな解決策として最近、「CleanAirテクノロジー」を導入している(詳細は後述)。

アルバネットワークスでは、ライトサイジングとVBN(ヴァーチャル・ブランチ・ネットワーク)の2つに重点を置いてビジネスを展開している。同社ビジネスディベロップメントマネージャーの山移雄悟氏によれば、ライトサイジングとは「使用されていない、あるいは活用されていない有線LANポート数を減らすことで、設備コストと運用コストの削減を図るもの」だという。無線LANなら1ポートで複数のユーザーと機器を収容できる(図表1)。この利点を活かして有線LANのポート数をライトサイジング(適正化)し、コストも適正化するのだ。また、VBNとはリモートオフィスや在宅勤務など向けのソリューションである。

図表1 ライトサイジング(提供:アルバネットワークス)
 図表1 ライトサイジング(提供:アルバネットワークス)

メルー・ネットワークス リージョナルセールスマネージャーの遠藤廣司氏は企業向け無線LAN市場の現状について、「iPhoneやiPadの普及、802.11nなどが追い風になって大学などの教育機関や病院などからの引き合いが増えており、まもなく一般企業にも無線LANが普及し始める」と解説する。また、同社シニアシステムエンジニアの中西良夫氏は「当社の強みは容易なチャネル設計とハイデンシティ(高密度)にある」とコメント。例えば、46㎡の環境で、500台の無線クライアントを同時接続することができるという。iPadなど無線LANに対応した端末が増えているが、1箇所に数多くの無線LAN端末が集まって、問題なく利用できるというわけだ。

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