ICT×未来

ビジネスの明日を動かすICTトレンド

「ディープラーニング」など先進AIの活用において、官民一体となった日本の攻勢が始まる!

文◎西俊明(ライトサポートアンドコミュニケーション) 2017.06.05

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

日本におけるAI+ビッグデータへの取り組みは、今からさらに加速します。その大きなドライバーの1つとなるのが、先ごろ施行された「改正個人情報保護法」です。今回は、最注目のAI技術であるディープラーニングについて分かりやすく紐解きながら、日本政府の狙いも解説します。

ディープラーニングは従来のAIと何が違い、ビジネスをどう変化させるのか?そして、ようやくディープラーニングが登場します。ディープラーニングは、機械学習の1つの手法として位置づけられます。

ディープラーニングは脳の神経回路を模倣した仕組みとなっています。人間の脳は、「ニューロン」と呼ばれる神経細胞が無数に集まり、神経伝達のネットワークを作っています。これを人工的にマネたものが「ニューラルネットワーク」と呼ばれるものであり、ディープラーニングで採用した仕組みです。

 


図表1 ディープラーニングのイメージ
図表1 ディープラーニングのイメージ

 


ディープラーニングでは、図表1における入力層からデジタルデータを入力し、複数の中間層を経由して出力層から回答を得ることになります。

それぞれの中間層(ノード)をどのように接続するか、あるいは、それぞれの中間層は「どのような入力に対して、どのような出力を行うか」などを調整していくことで、入力に対する出力が決まっていきます。

そして、この中間層の階層が深くなり、ノードが多くなると、その分、複雑な分類や判断ができるようになります。

ディープラーニングの「ディープ(深層)」という言葉は、この「層を深くする」という意味なのです。

さて、さきほど、「ディープラーニングは機械学習の1つの手法」と言いましたが、ディープラーニングには、一般的な機械学習とは大きく異なる点があります。

それは、

「人間が何も指示しなくても、大量のデータを読み込ませることで、AI自身が対象の特徴を見出し、判断や分類ができるようになる」

ということです。

これは、ディープラーニングの内部構造で説明すると、「ニューラルネットワーク自身が、各ノードの接続や、ノードの入力に対する出力内容を調整していく」ということです。

2012年、「GoogleのAIが猫の画像を認識した」というニュースが話題となりました。当時、「なぜ、そんなことがニュースになるんだ?」と思われた人も多かったようですが、これがディープラーニングによる成果でした。

ディープラーニングを採用したGoogleのAIは、YouTube動画から切り出された大量の画像を読み込み、自分自身でニューラルネットワークの調整を行い、誰の助けを借りることもなく「視覚としての猫の概念(パターン)」を獲得したのです。

 


図表2 GoogleのAIが自ら獲得した猫の概念
GoogleのAIが自ら獲得した猫の概念
出所:Google Official Blog

 

これは、生まれたての赤ちゃんが、五感を通じて様々な情報をすさまじいスピードで吸収し、様々な概念を獲得していくプロセスに通じるものがあります。

もちろん、「猫の概念の獲得」で実現したものは視覚に相当する画像認識だけですが、今後、他の分野においてもAIが自分自身で概念を獲得できる可能性は高まりました。

ちなみに、この猫を認識したGoogleのAIは、1万6000個のノード(CPU)を接続したニューラルネットワークで構成されていますが、人間の脳全体では千数百億個のニューロンが存在します。

まだまだ小さな一歩ですが、今後、AIが自分自身の力で世界の様々な事象・対象に対してゼロから概念を獲得し、判断や分類ができるようになる可能性が現実味を帯びてきたのです。

以上が、ディープラーニングが注目されるようになった理由です。

さらに、猫の概念獲得以降も、ディープラーニングの研究は様々な成果を挙げています。

2015年には、画像認識で誤検知率が人間を下回りました。つまり、画像認識ではAIは人間の能力を超えたと言えるでしょう。

2016年、Googleのアルファ碁というAIが囲碁のトップ棋士を破りましたが、これもディープラーニングの成果です。

現在では、音声認識でも人間の能力を超えた、と言われています。

このように、ディープラーニングを採用したAIは自ら進化していくでしょうが、今後、我々のビジネスに、どのように活用できるのでしょうか。

ディープラーニングの革新性は、何と言っても

「大量のデータを読み込ませることにより、自ら概念やパターンを見つけ出す」

点にあります。

これにより、たとえば

・工作機械の振動や音から、人間にも分からない軽微な異常を見つけ出す

・ベルトコンベアのラインから、画像認識により僅かな不良品を検出する

・生産ライン上の異物を発見する

・株取引のチャートで、これまで人間が気付かなかった新たな売買シグナルを見つけ出す

・消費者の活動や購買履歴から、マーケティングにつながる新しい活動・消費シグナルを発見する


など、人間の能力を超えた認識能力により、様々なビジネス領域で、より高次のレベルでの活動が可能になると考えられます。

さらにディープラーニングにより、「判断」「分類」につづき、「予測」技術も精緻化することが期待されています。

現在注目されている自動運転においては、AIがどんなに正確に運転できたとしても、子供の飛び出しや対向車線の車の危険運転などがあった場合、それらをとっさに回避できないことには、実際には使いものになりません。

そのような緊急時の対応を可能にするものが「予測」の技術です。

ディープラーニングによる予測技術が実用化された時が、真の自動運転車の時代の幕開けかも知れません。

著者プロフィール

西俊明(にし・としあき)

慶應義塾大学文学部卒業。合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション代表社員/CEO。富士通株式会社で17年間にわたり、営業、マーケティング業務に従事。2008年、経済産業大臣登録・中小企業診断士として独立し、2010年、合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション設立。専門分野は営業・マーケティング・IT。Webマーケティングやソーシャルメディア活用のテーマを中心に、8年間で200社以上の企業や個人事業主のマーケティングのコンサルを実施、180回以上のセミナー登壇実績をもつ。著書に『あたらしいWebマーケティングの教科書』『ITパスポート最速合格術』『高度試験共通試験によくでる午前問題集』(技術評論社)、『絶対合格 応用情報技術者』(マイナビ)、『やさしい基本情報技術者問題集』『やさしい応用情報技術者問題集』(ソフトバンククリエイティブ)、『問題解決に役立つ生産管理』『問題解決に役だつ品質管理』(誠文堂新光社)などがある。

スペシャルトピックスPR

ハカルプラス
kccs1904
nttdata1904

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】キャリアネットワークの
   メガトレンド
●5Gを4つのキーワードで解説 ●通信インフラは「共有」する  ●基地局は持ち運ぶ時代へ ●ネットワーク機器の機能分離が加速 ●ゲームチェンジの引き金を引くO-RAN ●5G網はSRv6で一筆書き

●[インタビュー] クアルコムジャパン 須永順子社長「5Gの1年前倒しに大きな意義。ローカル5Gを工場へ積極提案」 ●スマホ内線化で働き方を変える ●埼玉県飯能市が“IoT罠”で獣害対策 ●ネットワン「サブスク拡大」の理由 ●IoTを導入しない企業は5年以内に脱落? ほか

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー
プレゼントキャンペーン201904A

スペシャルトピックス

インテルキャリア網もクラウドネイティブへ
5G革命を推進するインテル

インテルが5G時代の新NW実現に向けた取組みを加速させている。

エクストリームネットワークス「ワイヤレスジャパン」に出展!
Wi-FiとIoTをAIが自動で管理

「Smart OmniEdge」がネットワークエッジのトラブルから解放する!

NTTコミュニケーションズeSIMを本格提供! 垂直統合で企業のIoT活用を支えるNTT Com

国内MVNO初のリモートプロビジョニング対応eSIMサービスも提供開始

サクサキャリア網の利用で高い通話品質
スマホ2台までお試し導入も!

サクサのビジネスホンなら、スマホ内線が途切れない! 使い勝手も◎!
NTTコムウェアスマホ内線で高い通話品質を実現!

交換機開発のノウハウを活かしたNTTコムウェアのクラウドPBXは、高い安定性や優れた通話品質が特徴

日本シエナコミュニケーションズ光伝送網の能力はもっと引き出せる
目指すは“どこでも400G”の世界

シエナが1波800Gbps伝送を可能にする新世代チップを発表した。

KCCS加速し続けるSigfoxの「今」
人口カバー率は94%を突破

グローバルでも年末には70カ国・1300万回線に拡大見込みだ。

専門人材が24/365で対応するMSS
最新鋭のSOCで途絶なく脅威を監視

次世代FWなどのセキュリティ機器は「設置しておしまい」ではない。

ケーエムケーワールド最大2.7Gbpsの次世代FW
100名以下の企業で採用が増加!

NISG3000は様々なセキュリティ対策が詰まったオールインワン型

ジュニパーネットワークス"クラウドが遅い"をSD-WANで解消
ブレイクアウトの課題とは?

クラウドの「体感品質」にフォーカスしたジュニパーのSD-WAN

シングテル海外拠点網“SD-WAN化”の注意点とは?

グローバルキャリアに聞く回線選びの重要性

ソニービズネットワークス“ひとり情シス”でも心配なし!
SD-WAN始めるならマネージド型で

SD-WAN導入に悩みを抱えるIT担当者に最適なマネージドSD-WAN

マクニカネットワークス高精度にアプリ識別可能なSD-WAN
速度も最大10倍以上に高速化

Silver PeakのSD-WANは「正確で速い」という強みを持つ。

ハカルプラス後付け簡単&低コスト! 5km飛ぶLoRa無線機で始める設備のIoT化

IoT導入時のハードルをぐっと下げる、ハカルプラスの「LoRa無線機」

サイバーソリューションズビジネスメール詐欺を確実に防御!
メール攻撃対策の頼れる存在

MAILGATESΣなら、既存メール環境と組み合わせて解決できる

ZETAアライアンスマルチホップができる革新的LPWA
ZETAでIoTビジネスを掘り起こす!

マルチホップという他のLPWAにない特性で、次々にユースケース開拓!

ソネット“ネットワークエンジニア不要”は
本当だった!

コスパの高さと圧倒的使い易さに感銘! Ubiquitiのユーザーが証言。

ラクスメール対応ミスを複数人管理で減少
誤送信を防ぐ送信前チェック機能も

返信モレに重複対応、誤送信……。メールによる顧客対応の課題解決!

NECモバイルワークに必須のアイテム
いつでもどこでも内線通話を実現!

NECのUNIVERGE ST500は、スマホを内線端末として利用可能にする。

アクセスランキング

tc1904
http://amzn.asia/d/ejYdrIg

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます