企業ネットワーク最前線

スシローのAWS活用を支えるネットワークとは?――Direct Connect+KDDI WVSでさらなる進化

文◎太田智晴(編集部) 2015.04.22

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

AWSの先進ユーザーとしても著名な日本最大級の回転すしチェーン、あきんどスシロー。クラウドのパフォーマンスは、ネットワークの品質にも大きく左右されるが、あきんどスシローが選んだのは、AWS Direct ConnectとKDDI WVSの組み合わせだった。

AWSと本社・店舗をつなぐネットワークが直面した2つの課題

このようにAWSをITインフラとして全面的に採用しているあきんどスシローだが、本社や各店舗とAWSをつなぐネットワークはどうなっているのだろうか。言うまでもなく、クラウドはネットワーク越しにITインフラを活用するもの。ネットワークのパフォーマンスや安定性が、きわめて重要になる。

あきんどスシローでは最初、AWSとインターネットVPNで接続していた。

同社は本社や各店舗をつなぐ拠点間ネットワークを、KDDIのイントラネットサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch(WVS)」で構築している。各店舗のデータは、WVSを介して本社にいったん集まり、それから本社に設置されたVPNルーター経由でAWSに送られるという仕組みだった。

このため、情報システム部 担当課長の坂口豊氏によれば、次の課題があったという。

「本社に障害が起こると、本社だけではなく、すべての店舗でAWSと通信できなくなるという状況でした。当時は、電源設備の点検のための停電があると、AWSが全拠点から利用できないという状況になっていました」(坂口氏)。本社が“単一障害点”となっていたのである。

 

あきんどスシロー 情報システム部 担当課長 坂口豊氏
あきんどスシロー 情報システム部 担当課長 坂口豊氏



また、AWSとの通信すべてが本社に集中することもあり、ネットワークのパフォーマンス面にも課題を感じていたという。実際、40億件のデータによる検証時、AWSへのデータ転送には2日間を要しており、将来ネットワークがボトルネックになることは当初から予見されていた。

そこで2013年5月の本社移転を機に、あきんどスシローはインターネットVPNからAWS Direct Connectへ切り替えた。

 

あきんどスシローの新本社ビル
あきんどスシローの新本社ビル



AWS Direct Connectとは、インターネットを経由せずに、AWSと閉域網で接続できるサービスだ。ベストエフォートのインターネットとは違い、安定的なパフォーマンスを実現できること。そして、閉域網ならではのセキュリティの高さなどが、AWS Direct Connectのメリットである。

AWSの東京リージョンの場合、AWS Direct Connectにより閉域接続するための相互接続ポイントは、データセンター事業者であるエクイニクスの東京第2データセンター(TY2)に用意されており、このTY2からAWSに接続している。

AWS Direct Connectを利用するには、TY2にラックスペースを確保し、TY2と各拠点をつなぐ回線を引き込む必要があるが、ユーザー自身でこうした作業を行うのは大変だ。そこでAWS Direct Connectユーザーのほとんどは、通信事業者などが提供するサービスを活用している。

あきんどスシローの場合もそうだ。WVSとTY2間、そしてTY2からAWS間の接続を、KDDIがワンストップで提供している。

図表 あきんどスシローのネットワーク構成イメージ
あきんどスシローのネットワーク構成イメージ

 

以前からWVSを使っていた同社にとって、AWS Direct ConnectについてもKDDIのサービスを採用するのは自然な流れと言えるが、選定時には他社からの提案も受けた。そのうえでKDDIを選択した理由の1つは、そのサポート力にあったという。

「KDDIはWANだけではなく、各店舗のルーターなど構内までワンストップでサポートしてくれています。また、『まだADSLの店舗のアクセス回線を短期間に光ファイバーに切り替えたい』とお願いしたことがあったのですが、このときも我々の厳しい要望にKDDIは真摯に対応してくれました」(田中氏)

AWSとつなぐネットワークを、AWS Direct Connect+WVSに切り替えたことで、各店舗は本社を介さずにWVSから直接AWSに接続できるようになった。このため、本社に障害が万一発生しても、店舗に影響が及ぶことはない。なお、AWS Direct Connectに障害が起こった場合は、インターネットVPNに迂回する設定になっている。

また、もう1つの課題であったネットワークパフォーマンスについても、本社にトラフィックが集中していたインターネットVPN時代と比べ、「高速になりました」と坂口氏は評価する。

田中氏は、クラウドを活用する一番のメリットは「スピードです」と語る。オンプレミスと違って、クラウドではハードウェアの運用保守やサイジングなどの手間が不要だ。このため情報システム部は「ITの側面から業務をどう改善していくか」に集中できる。それゆえ、スピード感をもって、ITによる業務改革を進められるのだ。

また、クラウドなら様々なチャレンジが低コストで行える。加えてあきんどスシローの場合、ネットワークをKDDIに任せ、さらに運用負荷を軽減しているのもポイントとなっている。

あきんどスシローの情報システム部のメンバーはわずか5名。AWSとこれを支えるネットワークを武器に、少数精鋭による先進IT活用はさらに進化していく。

スマートデバイス/クラウド活用事例

スペシャルトピックスPR

netscout2009
microfocus2009
hitec2009

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】5G
    これからどうなる?

●5GMF アプリ委員会委員長 岩浪剛太氏「5Gニーズは3年加速した」
●日本の5Gはこう進化する ●5G網でAPIエコノミー
●コンシューマー市場で劇的な展開はあるか ●米欧中韓は2020年内にSA開始
●SA化で火蓋切る企業活用 ●中国5Gは「地方」が熱い など

◆災害対策で進むIoT活用 ◆5G/IoT時代、地図はどうなる
◆ドコモ口座事件後のフィンテック ◆1円玉サイズのLeafonyが道開く ほか

>>詳しい目次を見る

スペシャルトピックス

原田産業なぜ、5Gの「超低遅延」の実現に
高精度な時刻同期が不可欠なのか?

5Gの真骨頂「超低遅延」に欠かせない高精度グランドマスタクロック!

Juniper Virtual Summit for Japanジュニパーがオンラインイベント
AIOps、5G、クラウドの最新情報!

<12月3日開催>加速するクラウド活用とネットワークの変革

スリーダブリュー多彩なローカル5G関連企業と連携

スリーダブリューは、多様なプレイヤーと連携し、ローカル5Gの課題をワンストップで解決できる。

RADWIN4.9GHz帯無線で建機の遠隔操作!

鉄道での実績に加え、昨今は建機や港湾クレーンの遠隔操作を実現する無線インフラとしても注目。

日本シエナコミュニケーションズ光/IP融合で5G超低遅延

光伝送のリーダーであるシエナは、光/IP融合に磨きをかけ、5G URLLCとNWスライシングの効率運用に貢献

パイオリンク <帝京大学>ADCによる負荷分散で
オンライン授業の品質を担保

コロナ対策でオンライン授業に全面切替。パイオリンクのADC導入!

Cisco Webex Calling取り残されてきた「固定電話」
新しい働き方の鍵はクラウドPBX

テレワーク中の会社宛電話をどうするか? 解決策を探ってみよう!

マクセル太陽電池はもう時代遅れ!
リチウム電池で8年以上の持ち

マクセルの「IoT電源システム」は、リチウム電池を用いた従来ない電源

アイ・オー・データ機器リチウム電池で安定的に水位計測

アイ・オー・データの「水位監視用電池式IoT通信システム」ならコンパクトサイズで設置も簡単!

NECネッツエスアイ自然災害の被害をIoTで最小化

LPWAを活用した災害対策サービスを提供するNECネッツエスアイ。最適な通信規格がマルチに選べる!

スリーダブリューローカル5G局開設を全段階で支援
レンタルでコスト障壁に挑む

ローカル5G向けの基地局レンタルパッケージが提供開始!

マイクロフォーカス5G時代の高速アプリ開発!

モバイルアプリなどの開発をさらに高速化するためには、「Enterprise DevOps」への進化が欠かせない。

NVIDIA EGXエッジAIの最適解はGPUにあった!

NVIDIA EGXでエッジコンピューティングの課題を解決し、「スマートエブリシング革命」の実現を!

IDaaSクラウド時代の新常識! 今こそIDaaSを導入すべき3つの理由

クラウドを活用するなら、ID/アクセス管理もクラウドに!

ローデ・シュワルツローカル5Gの測定ニーズの
全てに応えるローデ・シュワルツ

設備構築時の干渉調査・エリア確認、運用開始後の管理までカバー!

MOVEit「パスワード付き圧縮ファイル」
にはもう頼らない!

セキュアなファイル転送を簡単かつ迅速に実行するには?

Gigamonコロナ禍による通信量の増大に対応

モニタリング、セキュリティ装置の負荷軽減や運用効率化を実現するGigamon社の先進的なL1スイッチ!

ネットスカウトシステムズNWを堅牢にしながらDDoS対策も
ニューノーマルのセキュリティ対策

テレワークのセキュリティと可用性を同時に高める方法があった!

マイクロフォーカス通信キャリアの運用監視をDX

HPEのソフトウェア部門を統合したマイクロフォーカスに、通信キャリアの課題と解決策を聞いた。

tcs-8500遠隔診療がWeb会議でいいはずない!
ノイズなし4K映像伝送を低価格で

医療現場で求められる高画質・低遅延を1台で実現する「TCS-8500」

エンピレックス通信事業者にワンランク上の可視性を

5G時代、キャリアは運用の一層の効率化を迫られるが、クラウドネイティブならトータルコストも削減できる!

ホワイトペーパー
ローカル5G情報局

アクセスランキング

tc202012

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます