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【長野県岡谷市】“見守りケータイ”で独居高齢者の健康と命を守る

文◎百瀬崇(ライター) 2014.10.06

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1人暮らしの高齢者の命と健康をどう守るか――。長野県岡谷市は長年この問題に取り組んできた。多方面への情報収集の結果、“見守りケータイ”を活用したセコムのセキュリティサービス「セコム・マイドクタープラス」を導入し、課題解決に乗り出している。

地域住民の協力を得ながらセコム・マイドクタープラスへ切替

宮澤氏から相談を受けた田中氏は、2014年4月からセコム・マイドクタープラスを地方自治体向けにも提供開始する予定であることを説明。それを聞いた宮澤氏は早速、岡谷市での導入に向けた手続きを進めていく。

「まずは市としての方針を決定し、その後、要綱を作成していきました。これまで消防署が請け負っていた業務を委託方式に切り替えていくことや、個人情報の取り扱いをどうするのかなども含め、書類として提出する内容を1つひとつまとめていったのです」(宮澤氏)

4月1日には岡谷市とセコムとの間で契約が成立。しかし、既存の緊急通報装置をすぐにリプレースするわけではなかった。既存の利用者である独居高齢者のことを考え、「継続利用者のスムーズな移行作業を進める」ことが岡谷市の方針だった。

 

岡谷市役所庁舎
岡谷市役所庁舎

 

今年9月18日には、約150人の民生児童委員を集めて、既存利用者の新システムの移行手続きに向けた説明会を行った。民生児童委員とは、岡谷市内の各地区で高齢者や児童などの“見守り役”を担う人たちである。独居高齢者に新システムを利用してもらうにあたっては、民生児童委員の力が必要だ。

「独居高齢者に新システムを利用するための申請書を送っても、うまく理解できないかもしれません。そこで民生児童委員に新システムの説明を行い、移行手続きをともなう継続利用の独居高齢者の住居を1軒ずつ回ってもらうことにしたのです。会長をはじめ民生児童委員の方々は快く引き受けてくれ、とても助かっています」(宮澤氏)

宮澤氏によると、既存の緊急通報装置利用者については、2014年10月末までに申請手続きを行ってもらい、年内には新システムの端末を配布する方針だという。「ただ、イレギュラーなケースもあると思われるので、タイムリミットは2015年2月末に設定しています」(宮澤氏)

新システムの利用料金については、非課税世帯の場合は無料。課税世帯の場合は有料となるが、ある程度の金額を市が負担する形を取るという。

実は独居高齢者のうちの1人は、テストケースとして新システムの利用を開始している。市内への転居が決まった人で、工事費をかけて既存システムを継続してもらうより、新システムを導入してもらった方がいいと市が判断したからだ。

テストケースとなった独居高齢者はすでに2カ月間、新システムを利用している。「その間、一度だけセコムに緊急通報があり、緊急対処員が駆け付けました。それは岡谷市が試験的に緊急エリアメールを発信したときのことで、驚いて通報したようです。健康に問題があったのではないことが何よりでしたが、セコム・マイドクタープラスがきちんと作動することの証明にもなりました」。セコム上信越 本社社長付課長の中山隆一氏はこう説明する。

 

セコム上信越 本社 社長付 課長の中山隆一氏
セコム上信越 本社 社長付 課長の中山隆一氏

 

KDDIの携帯電話網で外出時にも緊急通報が可能に

新システムの本格導入はこれからだが、宮澤氏は次のような導入効果を思い描いている。

1つは、在宅時はもちろんのこと、外出時にも端末として持ち歩けるので、どこからでも緊急通報を行えること。「既存システムは、固定電話回線を使用した据え置き型の機器だったので利用が限定されていましたが、新たなサービスでは利用の幅が拡がりました」と宮澤氏。また、KDDIのネットワークの広さにも期待しているという。

2つめは、利用者が気軽に緊急通報をしやすくなること。従来は緊急時に消防署へ通報するのみであったが、新サービスはナースコールセンターも併設され、健康相談なども気軽にできると推察している。「セキュリティのプロであるセコムさんが対応してくれることで、利用者の緊急通報利用への抵抗感は弱くなると考えています」(宮澤氏)と言う。

さらに、このことは独居高齢者の介護予防にもなると期待している。24時間365日、セコムの看護師が健康相談を受けてくれることで、独居高齢者の話し相手ができるからだ。「会話すると脳の動きが活発化します。また、1人でいるといろいろなことをネガティブに考えてしまいがちですが、話し相手がいればポジティブな方向に気持ちを切り替えられるというメリットもあります」(宮澤氏)

利用者の持病や服用中の薬、かかりつけ医の連絡先などの個人情報をセコムに預けるのもメリットだと考えている。そうすれば、119番通報の際、救急隊員や医療機関の要請に応じて、必要な情報をセコムの専用端末を介して提供可能になるからだ。

さらに将来的には、セコムの専用端末を使って利用者の買物や、雪かきの支援などにつながる仕組みができれば嬉しいとも思っているという。「そのうえでは、地域をつなぐ仕組みづくりを構築していくためにも、これからますますセコムさんやKDDIさんなどの民間企業と力を合わせていく必要がありますね」。宮澤氏はこう話し、笑みを浮かべた。

 

セコム・マイドクタープラスの専用端末を手に笑顔を見せる岡谷市の宮澤氏
セコム・マイドクタープラスの専用端末を手に笑顔を見せる岡谷市の宮澤氏(中央)とセコム上信越の田中氏(左)と中山氏

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