米IT管理ソフトのソーラーウィンズが日本市場に本格参入――短期間で契約できる独自の販売手法

エンタープライズ向けIT管理ソフトウェアを展開する米ソーラーウィンズは2011年12月1日、国内での販売戦略などについての記者説明会を開催した。同社は11月2日に、丸紅情報システムズ等の販売パートナーを得て、日本市場に本格参入することを発表している。

同社は1999年設立。米テキサス州に本社を置き、ネットワークやクラウド、仮想環境の運用管理を簡素化するモニタリング製品を提供している。世界170カ国に10万社以上の顧客を持ち、日本でもすでに800社の顧客があるという。2010年度(1~12月)の売上は1億5200万ドルであり、前年度比成長率は31%を達成している。

エンジニアリング担当シニアバイスプレジデント兼アジア太平洋事業担当ゼネラルマネージャのダグ・ヒバード氏 ソーラーウィンズ流販売方法 (クリックで拡大)

エンジニアリング担当シニアバイスプレジデント兼アジア太平洋事業担当ゼネラルマネージャのダグ・ヒバード氏は「当社のソフトの販売方法は、従来型のIT管理ソフトの販売方法とは異なっている」と語る。従来のソフトはパワフルだが複雑なソフトであり高価、さらにインストールにはコンサルタントが必要で、導入期間も数カ月は必要だ。また、売込先も企業の幹部といった具合だった。だが同社の販売法は、パワフルで使いやすいソフトを安価で提供し、評価もインストールも簡単であり、1時間以内には稼働できる。売込先も直接のユーザーであるIT部門をターゲットにしている。このため、「丸紅情報システムズ等の販売パートナーが簡単に製品をインストールし、短時間でそれを立ち上げ、契約にこぎつけることができる」と述べた。

バイスプレジデント、ネットワークビジネス担当マーケットリーダーのサンジェイ・カステリノ氏

続いて、バイスプレジデントでネットワークビジネス担当マーケットリーダーのサンジェイ・カステリノ氏が、ソーラーウィンズのIT管理製品群と製品戦略について説明。同社は「ネットワーク管理」からビジネスを開始したが、ここ数年は製品を拡充し、「ストレージリソース管理」「システム&アプリケーション管理」「仮想化管理」「ログ&イベント管理」も提供するようになっている。特に2011年は、「これまでになく多くの製品を市場に投入した」という。例えば、サーバー向けの単体のアプリケーションパフォーマンスモニターや、データセンター向けのストレージマネージャーとバーチャライゼーションマネージャー、ログ&イベントマネージャーなどである。なかでも3Qに投入したログ&イベントマネージャーは、「ネットワークやシステムのコンプライアンス対応用にかなり使われている」とのことだ。

2011年に市場投入した製品群 (クリックで拡大) ソーラーウィンズの製品戦略 (クリックで拡大)

製品戦略は、「簡単に使えて、使い続けることができる」「導入が容易」「強力で実用的」「ユーザー中心、コミュニティ主導」の4つの特徴を持っている。特に4番目については、「ほぼ毎日コミュニティを通じてユーザーと交流している。その成果の一例として、5月に投入した“ユーザーデバイストラッカー”はコミュニティでの要望を取り入れて開発した機能を搭載したバージョン2を12月に投入する」という。

日本市場での取り組みについては、再びヒバード氏が説明。今年は丸紅情報システムズ等とパートナー契約を締結。日本語による製品サポート体制構築やWebサイトの日本語化などを進めてきた。2012年はさらに、「日本向けに主要製品のローカライズを進める」方針だ。まず、ユーザーインターフェースの日本語化と各種文書の日本語翻訳を行う。また、Web上での知名度向上の取り組みやマーケティング活動にも注力していく。

日本市場での取り組み (クリックで拡大)

新たな顧客層獲得の好機

説明会には、主要パートナーの1社である丸紅情報システムズ・プラットフォーム&ネットワーク事業本部デジタルマーケティング営業部営業一課担当課長の伊東輝明氏も同席した。同社は1998年からネットワーク管理システム(NMS)を手掛けており、これまで大企業を中心に250ユーザーへ350システムを導入している。

丸紅情報システムズ・プラットフォーム&ネットワーク事業本部デジタルマーケティング営業部営業一課担当課長の伊東輝明氏

ソーラーウィンズとの提携に踏み切った理由について伊東氏は、「欧米における圧倒的な販売実績に対して、日本市場はまだ未開拓であり、そこに大きな魅力を感じた」と語る。また、「高機能」「低価格」「豊富な製品ラインナップ」というソーラーウィンズのセールスポイントにより、「当社がこれまで取り込めなかった大企業以外の顧客層獲得の好機と判断した」という。

今回、同社以外にもミツイワとダイキン工業の2社がパートナーとなっているが、伊東氏は「ソーラーウィンズのビジネスモデルを生かしつつ、当社ならではの付加価値を提供することで他社との差別化を図りたい」という。具体的には、フェイスツーフェイスの営業、インストールや各種設定作業などのオンサイトのオプションメニュー提供、サポート窓口の開設を挙げた。特にサポート窓口については、「これまでのエンドユーザーとのビジネスのなかで培ったノウハウがあるので、顧客と直接コンタクトをして色んな問題を解決していきながら、顧客満足度を高めたい」と述べた。

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