NTT東、群馬大学らとローカル5Gを活用した医療インシデント削減の実証実験を開始

NTT東日本と群馬大学らは1月20日、群馬大学医学部附属病院にローカル5G環境を構築し、AI・薬剤自動認識装置を搭載した自立走行型ロボットによる、患者持参薬の確認および処方薬の配薬・服薬確認の実証実験を1月30日から開始すると発表した。

ローカル5G病棟巡回ロボットのイメージ

ローカル5G病棟巡回ロボットのイメージ

医療現場における人手不足や医療の高度化・複雑化に伴い、診療行為の確認漏れや情報伝達リスクが増大している。その中でも、配薬の誤りなどの薬剤に関するインシデントは医療インシデント全体の約4割を占めている。こうした課題を解決するため、NTT東を代表機関とする5者が総務省の「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に参画し、この実証実験を行うという。

実証実験では、群馬大学医学部附属病院をフィールドとして、医療従事者が行っていた薬剤鑑別をAI化したりロボットに代替させるなどし、医療インシデントの低減や看護師・薬剤師などの稼働削減を目指す。過去の医療実証では医師から患者への遠隔医療により業務効率化を目指していた。この実証はロボットを介した患者への医療支援を目標とする点が、医療分野では類を見ない先進的な取り組みであるという(参考記事:NTT東がローカル5Gで遠隔医療実証、専門医がロボットアームを操作)。

実証のイメージは以下の通りだ。医療従事者や患者自身は、ロボットのトレイに薬もしくは薬の飲み殻を投入し、ロボットに搭載された上下2台のカメラが照明角度、露光時間を変えた複数枚の画像を撮影。その画像はリアルタイムに解析サーバへ伝送され、薬剤鑑別システムあるいは飲み殻解析システムのAIで解析される。システムは処方内容が適切かどうかを医師の指示や記録と照合し、適切な配薬・服薬が行われているかを確認する。

実証のイメージ図

実証のイメージ図

ローカル5Gは画像データの伝送および薬剤鑑別に加え、ロボットが自走するための制御にも用いられる。医療現場という人や特殊機器が多数行き交い、遮蔽物が多く、電波干渉の可能性が高い環境に対応するため、分散アンテナ技術を採用する。カバレッジの広域化と干渉影響の低減が可能となる無線ネットワーク下で、医療機関内における効率的・効果的な課題解決を実証するという。

また、医療従事者の労働支援を通じ、時間創出・働き方改革の実現も目的とする。

加えて、地域の薬局と連携した薬剤トレーサビリティスキームの確立にも取り組む。退院後も病院とかかりつけ薬局の情報連携や、薬局における患者情報(既往歴やアレルギー歴)の参照、服薬確認などを行うという。これにより、病院のDX化だけでなく、住民にとって安心・安全な地域包括ケアを目指す。

実証期間は今年3月17日まで。NTT東と群馬大学のほか、ユヤマ(大阪府豊中市)が薬剤識別システムの提供、ウルシステムズ(東京都中央区)が AI/画像認識ソリューションの開発・提供、PHC(東京都港区)が薬局向け院内カルテ参照・トレーシングレポート送信システムの提供および病院・院外薬局との情報連携をそれぞれ担う。

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