O-RAN規格の基地局装置の試験・認証施設「Japan OTIC」が開設

開所式でテープカットに臨むJapan OTIC 理事代表の渡辺克也氏(中央左)と総務大臣政務官の国光あやの氏(中央右)、国内4キャリアの代表者

開所式でテープカットに臨むJapan OTIC 理事代表の渡辺克也氏(中央左)と
総務大臣政務官の国光あやの氏(中央右)、国内4キャリアの代表者

O-RANアライアンスが定める標準仕様に基づき、5G基地局装置などの試験・認証を行う「Japan OTIC(ジャパンオーティック)」が12月20日、横須賀リサーチパーク(YRP)のYRPセンター1番館に開設された。

O-RANアライアンスは、複数のベンダーの製品を無線アクセスネットワークで組み合わせて利用できるようにするためのインターフェース仕様の策定を行なっている組織。2018年に設立され、世界の通信事業者32社とメーカーなど304社が参加している。

この仕様に基づき機器の試験・認証を行う施設がOTIC(Open Testing & Integration Centres)だ。

Japan OTICは、YRPに集積する情報通信関連の企業・研究機関の連携・共同研究を推進するYRP研究開発協会を代表として、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの通信事業者4社が共同で開設・運営するもの。

すでにOTICは欧州、アメリカ、アジアで運用されているが、複数の通信事業者が共同で開設・運用する体制はJapan OTICが初となる。

YRPセンター1番館で行われた開所式で挨拶したJapan OTIC 理事代表、YRP研究開発推進協会 会長の渡辺克也氏は「国内の複数の通信事業者が共同で開設するOTICは日本が初。Japan OTICで得られた知見を提供していくことで、グローバルでのオープン化に貢献していきたい」と意欲を見せた。

渡辺氏は、Japan OTICの開設が国内ベンダーの国際競争力向上に寄与することを期待しているという。

来賓挨拶に立った総務大臣政務官の国光あやの氏は「5Gへの多様なニーズに対応するには、よりオープンで確実なネットワークが必要になる。Japan OTICの活動によりメーカーの参入が促されれば、5Gでさらに柔軟な対応が可能になる」と語った。

NTTドコモが提供した無線装置(RU)の試験環境

NTTドコモが提供した無線装置(RU)の試験環境

開所式では、Japan OTICの試験設備が報道関係者に公開された。

試験設備は、検証対象となる無線機(RU)を、基地局装置(CU/DU)と実際に接続して性能を検証するもので、開設当初はドコモと楽天モバイルがそれぞれ提供する2つの設備が運用される。

楽天モバイルが同社の商用ネットワークと同様にソフトウェアベースで基地局制御装置(CU/DU)を提供しているのに対し、ドコモはベンダー各社のハードウェアベースのCU/DUカードを用いている点など、その構成には違いがある。

「構成の異なる設備で検証をすることで、ベンダーが自社の無線機の正当性をより強く実証できる」(楽天モバイル)利点があるという。

利用料金や、試験・認証の具体的な手法などはこれから検討される。

楽天モバイル提供の基地局検証環境。左側の装置はCU/DUに接続する前に無線機の性能を検証するもの

楽天モバイル提供の基地局検証環境。左側の装置はCU/DUに接続する前に無線機の性能を検証するもの

 

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