Web3時代のトラスト確保へ、富士通がイスラエルに研究開発拠点

富士通がWeb3時代のセキュリティ技術確立に向けて、イスラエルに新しい研究開発拠点を設立する。取り組むのは、AIをだますサイバー攻撃に対する防御技術と、データの真正性などをネットワークにより保証するネットワークトラストの研究開発。Web3時代の新ビジネス創出に貢献したいとしている。

富士通は2022年11月28日、イスラエルに新しい研究拠点を設立すると発表した。2023年4月から活動を開始する。

欧州の中核研究拠点、Fujitsu Research of Europeの分室として設立される新たなイスラエル拠点が取り組むのは、データ&セキュリティ領域の研究開発だ。

「Web3やメタバースの時代に向けて、データの正しさをどう保証するかなど、デジタルトラストが必須の技術になる」

富士通 フェローSVPで富士通研究所 データ&セキュリティ研究所 所長の津田宏氏はこう語り、イスラエルのテルアビブに設置する新拠点では、AIセキュリティとネットワークトラストの研究開発を強化すると説明した。

富士通 フェロー SVP 富士通研究所(データ&セキュリティ担当) 研究本部 データ&セキュリティ研究所 所長 津田宏氏

富士通 フェロー SVP 富士通研究所(データ&セキュリティ担当)
研究本部 データ&セキュリティ研究所 所長 津田宏氏

AIをだます攻撃から守る

AIセキュリティとは、AIを活用したセキュリティ対策のことではなく、AIを守るためのセキュリティのことだ。

AIが社会に浸透していく中、「間違いなくAIが次のサイバー攻撃のターゲットになる」と津田氏は指摘。学会等では、AIを標的にした様々な攻撃がすでに報告されており、「近いうちに被害が出てくるフェーズ」に突入しているという。

一例として津田氏が披露したのが、スマートショッピングでAIがだまされるデモだ。ショッピングカートに入れた商品をAIが検知するが、ある特殊なシールを商品の一部に貼付すると、別の商品と誤認する。しかし、富士通がイスラエルのベングリオン大学と共同開発した技術を用いると、この攻撃を検知できた。また、特殊なTシャツを着ることで、監視カメラの検出をすり抜ける攻撃なども学会等では発表されているという。さらに、AIに誤った学習データを与える攻撃などもある。

AIをサイバー攻撃から守るAIセキュリティの必要性が高まっているという

AIをサイバー攻撃から守るAIセキュリティの必要性が高まっているという

富士通は昨年、ベングリオン大学内にAIセキュリティ領域の研究拠点を設置し、同大学との共同開発をスタートしている。

イスラエルは、多くの先進的なサイバーセキュリティベンダーやソリューションを輩出していることで知られているが、実際にイスラエルでの研究開発を開始し、「イスラエルのサイバーセキュリティの深さ」をあらためて実感したことが今回の新拠点設立の背景の1つにあるという。

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