<特集>周波数割当のこれから総務省「周波数再編アクションプラン」の狙い 16GHz幅の帯域確保のカギは?

2025年度末までに16GHz幅の帯域確保を目指す最新の「周波数再編アクションプラン」。目玉である5Gの大幅増波やスマホと衛星の直接通信の実現に向けて、ミリ波の割当と動的周波数共用が焦点となる。

総務省が2004年度から毎年公表している周波数再編アクションプラン。先ごろ意見募集が行われた令和4年度版の案では、2025年度末までに2020年度比で「+約16GHz」の帯域を確保する目標と、その実現に向けた方策が示された。

約16GHz幅の目標に対して、2022年度時点の進捗は+3.04GHz(図表)。残り約13GHz幅の中で大きいのが、5G/Beyond 5G携帯電話向けの6GHz幅と、衛星通信・HAPSを対象とする9GHz幅(残り6.5GHz幅)だ。

図表 2025年度末までの周波数の帯域確保目標と進捗状況

図表 2025年度末までの周波数の帯域確保目標と進捗状況

そのうち大半を占めるのは、6GHz帯より上の高周波数帯である。5Gで現在使われている28GHz帯より高い30GHz超の帯域が7GHz幅も含まれる。総合通信基盤局 電波部 電波政策課 周波数調整官の宮良理菜氏は、「5G向け(で割当済みの帯域)は、まだ2.3GHz帯の40MHz幅のみ(2022年5月)。ミリ波でどの程度割り当てられるかが、+6GHz幅達成の鍵になる」と話す。

40GHz帯を5Gへ割当

5G候補帯域として検討するのは、2.6GHz帯(2645~2665MHz)、4.9GHz帯(4.9~5.0GHz)、26GHz帯(25.25~27GHz)、40GHz帯(37.0~43.5GHz)だ。

2.6GHz帯は、衛星移動通信システム(N-Star)との共用になる。今年4月に割り当られた2.3GHz帯(2330~2370MHz)と同様に、同一周波数帯を異なる無線システム間で動的に共用する「ダイナミック周波数共用」の適用を検討する。

ローカル5GのSub6帯と隣接する4.9GHz帯は現在、デジタル・ディバイド対策等にFWA(固定無線アクセス)用途で使われている。その代替手段への移行と合わせて、2025年度末までの5Gへの割当を検討する。

26GHz帯は1.75GHz幅、40GHz帯は6.5GHz幅と、5G/ローカル5Gにすでに割当済みの27.0~29.5GHzをしのぐ広い帯域が対象になる。

このうち26GHz帯は2000年からFWA用途で使われており、その移行(候補は22GHz帯)とともに、ダイナミック周波数共用の導入も検討する。

40GHz帯も同様に、既存システム(固定回線等)の22GHz帯への移行の可能性や、41~42GHzについては放送事業用無線局(映像FPU。テレビ放送用の無線中継伝送)とのダイナミック周波数共用の検討を進める。

ここで鍵となるのが、ミリ波の用途開拓だ。Sub6帯に比べて28GHz帯の展開は遅れており、広い帯域幅を活かした成功例として確立されたものはまだない。「ミリ波をどう使っていくのかは、世界的に見ても難しいテーマだ。28GHz帯よりさらに高い40GHz帯が対象となるので、来年度から本格的に進める調査検討は技術的な検討だけでなく、26GHz帯と40GHz帯の用途も念頭において取り組んでいきたい」と宮良氏は話す。

4.9/26/40GHz帯は現在、その大部分がFWAに使われていることから、5Gへの追加割当に際しても同様の用途を想定した検討が行われる可能性もある。宮良氏は「すべて今後の議論次第」としたうえで、ミリ波を5G基地局のバックホールに使う「IAB(Integrated Access. Backhaul)のように、これまでの基地局・端末間だけでない使い方を検討していくことも必要だろう」と展望した。

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