NTTが世界で初となる新設計の光ファイバーを考案・実証したと2024年12月11日に発表した。光ファイバー内に複数の光信号を通す空間多重技術として開発が進む「マルチコア」「マルチモード」をかけ合わせた新構造だ。1本当たりの伝送容量を、一気に10倍以上へ引き上げられる可能性がある。
NTTが新たに考案・実証した結合型光ファイバーの概要
NTTアクセスサービスシステム研究所 アクセス設備プロジェクト 特別研究員の坂本泰志氏によれば、今回の成果は「2030年以降の技術候補として検討しているもの」という。「光ファイバーの細さを維持したまま多重度を飛躍的に高める技術として、新たな選択肢を示した」とその意義を強調した。
「マルチモード」で10超の空間多重を
NTTアクセスサービスシステム研究所 アクセス設備プロジェクト 特別研究員の坂本泰志氏
NTTはIOWN構想において、2030年代に光ファイバーネットワークの伝送容量を、現在と比べて125倍まで高める目標を掲げている。光伝送技術の進化で10倍超、光ファイバー容量の拡張で10倍超をそれぞれ達成。組み合わせで125倍を実現するというのが、そのロードマップだ。
このうち光ファイバーに関しては、光の通り道であるコアを4つに増やした4コア光ファイバーの実用化が近づいている。ただし、光ファイバーの細さを現状のまま維持するには、これ以上コアを増やすのは難しいという。コア間が近すぎると、コアから染み出した光信号が混ざってしまうからだ。
では、どうやって10を超える多重数を実現するのか。坂本氏によれば、2つのアプローチがあるという。1つがマルチモード光ファイバーだ。
現在使われているシングルコア光ファイバーや実用化間近の4コア光ファイバーは、コア内に1種類の情報(1モード)を伝搬させる「シングルモード」である。対して、マルチモード光ファイバーは、「コアを少し太くして、複数モードの光を伝搬させ、それぞれに異なる情報を載せる」。例えば、3モードなら1コアの容量は3倍。これを4コアとかけ合わせれば、12の空間多重ができる。