ネットワーク監視ツールの現在【後編】――セキュリティ用途で中小企業でも導入拡大

ネットワークを介して利用するアプリ/サービスの多様化、トラフィックの増大に伴って、ネットワーク監視ツールの需要が高まっている。後編では一般企業向け、特に中堅中小向けの製品について見ていく。セキュリティやM2M用途での導入も広がっている。

M2M/IoTへ適用しビジネス拡大これらのツールを導入する企業・団体の主目的は当然、異常を早期に発見し、迅速に対処できるようにすることだが、それ以外にも用途が広がっている。1つは、ネットワーク使用率の調査や傾向分析だ。

ネットワーク監視ツールの基本的な使い方は、しきい値を予め設定し、それを超えた場合に管理者へアラームを通知するというものだが、それ以外にも、トラフィック量や使用率等のデータを蓄積し、レポートを作成する機能を備える。管理者自身が手間をかけることなく、グラフ等で詳細なデータを見ることができるため、例えば、季節毎の変動を把握して障害を未然に防ぐための対策を打つこともできるようになる。

また、Ipswitchの榊原氏は「今後はセキュリティ用途での導入が伸びると期待している」と話す。WhatsUp Goldはネットワークとともにサーバーの監視も行うことができ、ファイル容量の増加からマルウェア感染を検知したり、重要なデータがポートから出される動きで情報漏えいを感知したりといった用途にも使える。

さらに、検知するだけでなく、それをトリガーとして、WhatsUp Goldからセキュリティ機器にSNMPコマンドを送信することも可能なため、検知から対策アクションまでを自動化することができる。

榊原氏は、こうした他の機器・システムとの連動でさらなる用途開拓が進むと見込む。ネットワーク上のあらゆる機器から情報を受け取り、それに応じたアクションを他の機器に指示する中継役としての役割をWhatsUp Goldに担わせるのだ。

例えば、データセンターではドアの開閉やサーバーダウンを検知して警告ランプを点灯させるといった用途にもWhatsUp Goldが使われているが、このように「お客様の業務課題を解決するツールになる」と同氏は話す。

他にも、店舗に設置した監視カメラの画像解析のデータからスタッフに客の来店を知らせる、多数の店舗を束ねるマネージャーに各店舗のレジの稼働状況をレポートするといった使い方がある。また、テーマパークにおいては、入場券売機の発券状況を読み取り、混雑してきたら発券スピードを遅めに調整したり、入場ゲートの開閉速度を遅くしたりといったユニークな用例もある。

ネットワークの異常監視という本来の役割からはかなり離れるが、「モノの状態を可視化する」という機能を活かすことによって、M2M/IoT分野でも活用の幅を広げようとしているのだ。

月刊テレコミュニケーション2016年2月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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