モバイル管理に不可欠なMDMの進化系「EMM」を徹底解説

スマートデバイスの業務利用に欠かせないMDM。これにMAMとMCMの機能を加えた「EMM」が一般化している。ベンダー各社はMAMとMCMに対応するとともに、独自機能を用意して差別化を図る。

レコモット――MAMの重要性を言及し続けた

MAMとMCM機能に特化したのがレコモットの「moconavi」である。

同社はMAMという言葉がそれほど認知されていない頃からMAMの重要性を訴えてきており「現在のようにMAMが注目されるようになるのは想定通りだった」とレコモット 代表取締役 CEOの東郷剛氏は話す。

moconaviはスマートデバイス向けにUIが最適化されたネイティブアプリからネットワーク越しにメールやスケジューラ、CRMなどさまざまな業務アプリケーションを利用できるというもの。

また、デスクトップ画面を画像で転送するVDIでは高速大容量のネットワークが必須だが、moconaviはネットワークに対する要求も高くないという。「デバイスにデータを持たずワイプが不要なので、運用管理者の負担はかなり低い」と東郷氏は言う。

MAMに特化しているため、BYODに最適のツールになっているが、会社支給のスマートデバイスにも数多く利用されているという。MDMと併用することで、よりセキュアで使い勝手が良くなるというわけだ(図表5)。

図表5 BYODでも会社支給(CPD)でも使えるレコモット「moconavi」
BYODでも会社支給(CPD)でも使えるレコモット「moconavi」

SIMロック解除で変わるBYODの今後

なお、BYODに関しては徐々に採用する企業が増えつつあるが、アナリストらが予想していたほどには広まっていないというのが現状のようである。

だが、「2015年5月にスタートするSIMロック解除はBYODの普及を加速させる要因となり得る可能性がある」とBizMobile 代表取締役COOの松村淳氏はいう。

これまではスマートデバイスとSIMをセットで購入するというモデルであり、端末の2年縛りが終了した時点でSIMとセットで買い換えるサイクルを繰り返してきた。それが、SIMロック解除が始まることで、スマートデバイスの2年縛りが終わった後は端末を社員に贈与し、SIMだけを支給するといったことが起こりうる可能性があるからだ。

「利用用途によっては、MVNOの格安SIMを業務利用するケースも考えられる」(松村氏)。SIMロック解除は、日本でも欧米のようにBYODが普及するきっかけになる可能性を秘めている。

MDM/MAM/MCMをEMMとベンダー独自機能という視点で見てきたが、MAM1つ取ってみても各ベンダーの手法はさまざまである。そしてMAMと一言にいっても、ベンダーによってできることとできないことは違っている。MDM/MAM/MCMは単純に機能と料金で選ぶのではなく、ユーザー企業がそれを使ってどんなことを実現したいのか、そのために必要なMDM/MAM/MCMとはどんなものなのかをじっくり検討することを薦めたい。

月刊テレコミュニケーション2015年5月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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