モバイル決済サービス最新動向(前編)モバイル決済は“クレジット後進国”日本を変えるか?

スマートデバイスを決済端末として活用するモバイル決済サービスが注目を集めている。従来のクレジットカード決済と比べてハードルが低く、個人商店をはじめ中小企業での導入が進むと期待されるモバイル決済の最新動向を追った。

スマートフォンやタブレットをクレジットカード決済端末として利用するモバイル決済サービスが、昨年来、大きな注目を集めている。

端末本体に装着した小型の専用リーダーにクレジットカードをスワイプする(読み取らせる)という従来にはない斬新な決済スタイルは、2009年に米国でTwitterの創業者であるジャック・ドーシーが立ち上げたSquare(スクエア)が始まりだ。日本では2012年9月に日本PayPal がPayPal Here(ペイパルヒア)を開始すると、楽天スマートペイ、Coiney(コイニー)、スクエアなど各社が相次いで参入した。

もともと、米国をはじめ海外ではクレジットカード決済が主流であるのに対し、日本は現金決済が中心。電子決済研究所の調査によると、決済手段の約8割を現金が占めており、クレジットカードは約17%にとどまる(図表、2011年時点)。世界でもまれに見る「現金文化」の背景には、他国と比べると治安が良く、多額の現金を持ち歩きやすい環境であることが影響している。

図表 国内の決済市場
国内の決済市場

店舗側の事情も見逃せない。クレジットカード決済に対応するには専用端末(CAT端末)を導入することになるが、1台あたり10万円程度と高額なうえ、クレジットカード会社に対し加盟店料や決済手数料を支払う必要がある。レジ回りにCAT端末を設置するスペースも確保しなければならない。また、カード会社の加盟店契約は法人あるいは一定条件を満たす個人事業主に限定されており、書類を提出した上で対面の審査を受けるなど審査期間も2週間~1カ月を要する。

このため中小事業者、特に個人事業主がクレジットカード決済に対応することはハードルが高く、導入したくてもなかなか難しいというのが実情だ。一説には、全国に約430万ある店舗の中でクレジットカード決済に対応しているのは4分の1程度にとどまるとされる。

月刊テレコミュニケーション2014年5月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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