ICT技術解説[第5回]超話題の「iBeacon」を徹底解説――O2Oの本命となるか!?

アップルがiOS 7から搭載した新機能「iBeacon」に注目が集まっている。スマートデバイスユーザーの位置情報を活用してクーポンをプッシュ発信できるなど、O2O用の技術として期待が高まるiBeaconの仕組みや他の技術との違い、実用化状況などを徹底解説する。

2.iBeaconに注目が集まっている理由

スマートデバイスを活用してユーザーの位置を把握し、適切なクーポン情報や商品情報などを配信するO2Oサービス。そのための位置測定技術は、Bluetooth Low Energyを活用するiBeacon以外にも存在している。

例えばNFCだ。NFCでは「かざす」だけで簡単にデータ通信が行える。その便利さは、NFCと互換性のあるFeliCa(SuicaやEdy、nanacoなど)ですでに実証済みだが、O2O用途での普及も期待されている。

ただし、通信距離が数cm程度のNFCをO2Oで利用する場合、ポスターなどに埋め込まれたNFCチップにわざわざタッチしてもらう必要がある。また当然、スマートデバイス側にもNFCが搭載されている必要があるが、iPhone/iPadは現在のところNFCもFeliCaも非搭載だ。

一方、iBeaconが利用するBluetooth Low Energyは、推奨値で10mとNFCよりも広範囲に電波が届くため、消費者にタッチなどのアクションを要求することなく、ユーザーの場所を把握しできる。

また、もちろんiBeacon自体はiOSに搭載された機能ではあるが、AndroidでもiBeaconと同様のサービスは提供可能である。例えばアプリックスのBeaconモジュール「BM1」の場合、Android向けのアプリケーションが作れるSDKも用意されており、iOSとAndroidの両方に共通のBeaconモジュールで対応できる。さらに、ACCESSもAndroidに対応したソリューションを提供予定だ。Androidは昨年夏にリリースされたAndroid 4.3から、OSレベルでBluetooth Low Energyを標準サポートした。

O2O用途で期待されている技術としては、さらにGPSと無線LANもある。

GPSによる測位の課題は、屋内や地下などGPS衛星の電波が届かない場所では完全なサービスを提供できないことだ。これに対し、iBeaconの場合、Beacon端末を設置すれば、屋内でもユーザーの位置を高精度に把握できる。

この点は無線LANも同じだが、違いとして注目したいのは導入・設置の容易さである。無線LANアクセスポイントの場合、PoEを利用するにしても電源確保のための配線が必要になる。一方、Bluetooth Low Energyを採用するBeacon端末は消費電力が低く、乾電池でも数年間稼動なため、電源の問題を気にすることなく、簡単に設置できる。さらに、Beacon端末の価格自体も、無線LANアクセスポイントと比較すれば安価だ。

このようにO2O向けの技術として、既存技術にはない特徴を有していることから、iBeaconは注目を集めているのである。

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