SCSK クラウドベースのネットワーク管理ソリューション「Aruba Central」 無線LAN構築・運用の課題を解決 SCSKが語るWi-Fi導入のポイント

昨今の無線LAN構築において大きなトレンドとなっているのが「クラウドWi-Fi」ソリューションだ。複数拠点に展開される無線LANアクセスポイントをクラウド上の管理システムから統合管理することで、運用負荷とコスト負担を軽減できるといったメリットがある。この無線LAN環境の構築におけるポイントについてSCSKに聞いた。
SCSK ITエンジニアリング事業本部 エンタープライズ第三部 ITスペシャリストの碓井雄一郎氏(左)と、日本ヒューレット・パッカード ARUBA事業統括本部 パートナー技術部 兼 西日本技術部 部長の天野重敏氏

SCSK ITエンジニアリング事業本部 エンタープライズ第三部 ITスペシャリストの碓井雄一郎氏(左)と、日本ヒューレット・パッカード ARUBA事業統括本部 パートナー技術部 兼 西日本技術部 部長の天野重敏氏

 働き方改革やオフィスのフリーアドレス化の動きに伴い、改めて無線LANへのニーズが高まっている。ただし、無線LAN環境の構築においては、セキュリティや電波の到達範囲を考慮したアクセスポイント(AP)の設置など、有線LANとは異なる観点での検討が必要だ。多くの企業の無線LAN導入を支援するなかで、こうしたノウハウを蓄積してきたのがSCSKだ。同社の碓井雄一郎氏は、無線LAN導入のポイントを次のように説明する。

 「単純にAPやスイッチを入れるだけではありません。認証基盤をどうするのかという話は必ず出てきますし、セキュリティのポリシーも決めなければなりません。さらにAPの設置場所についても、どこに設置するかで電波強度が変わります。こういった部分まで含めて、SCSKではトータルで無線LAN導入を支援しています」

投資を無駄にすることがない Arubaの「One Architecture」


 その碓井氏が「エンタープライズ領域において極めて有効なテクノロジーを備えている」と高く評価するのが、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が提供するArubaのソリューションだ。クラウドベースで有線/無線ネットワーク機器を一元管理できる「Aruba Central」を採用したある企業を例に、Aruba製品のメリットを同氏はこう解説した。

図表1 100%クラウドとAruba Centralの比較

一般的な
クラウドのメリット
100%クラウドベンダー Aruba Central
アセットレス ・クラウド専用APが必要 ・IAPが必要(既にIAPを持っていればクラウドライセンスだけで良い)
管理負荷の
削減
・クラウドで簡単管理
・無線LANのトラブルシューティングが困難
 ─自分で無線LANのログが取得できない
 ─自分でDebugができない
 ─事象再現の度にベンダーサポートへ問合せが必要
・クラウドで簡単管理
・Wi-Fiの障害時はIAPの詳細なログ取得、Debugが可能
俊敏性
今すぐ始めて、
いつでも
やめられる
・クラウドをやめてもAPが残る
・クラウドライセンス無しでは使えないため、APへの投資コストが無駄になる(やめたくてもやめられない)
・クラウドをやめてもIAPとして利用可能
使った分だけ
課金
・クラウドライセンスは年単位更新がほとんど ・年単位の更新

 「その企業は、全国100程度の拠点にAPを設置しました。Aruba Centralを利用することで、IPアドレス等のインターネットへ通信可能な初期設定をしたAPを配布し、それを各拠点でネットワークにつなげれば、クラウドに接続された時点ですぐに統合的な管理が可能になります」

 導入が容易になるほか、下の画像のようにダッシュボード画面で通信状態のモニタリングや各種の設定・管理が行えるため、運用負荷も軽減できる。

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ArubaのAPとスイッチを統合管理できる「Aruba Central」

ArubaのAPとスイッチを統合管理できる「Aruba Central」。管理・監視のほか、ゲストWi-Fi、アナリティクスなど豊富な機能を備える

 さらに、Aruba製品には競合他社との大きな違いがあり、上記の事例でArubaを選定する大きな決め手になったという。無線LANシステムの設計・運用形態を柔軟に変更できることだ。

 Arubaは、仮想コントローラ機能内蔵型で高度な管理機能が使える「Aruba Instant AP(IAP)」、多数のAPを集中管理する無線LANコントローラ、Aruba Central等のすべての製品/ソリューションを同一アーキテクチャで開発・設計している(図表2)。そのため、最初はIAPだけを導入して小規模に無線LANを構築・運用し、その後、APの数や拠点数が増えた段階でシステム形態を変更して、オンプレミス型のコントローラ配下で一元管理することも、Aruba Centralによるクラウド管理型で集中管理することも自在に行える。

図表2 Arubaアーキテクチャの優位性

図表2 Arubaアーキテクチャの優位性
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 つまり、同じAPを使いながら運用形態の変化に柔軟に対応できるのだ。この「One Architecture」こそArubaの最大の強みだと碓井氏は話す。

 「クラウド管理型とオンプレミス管理型でハードウェアが異なるベンダーは少なくありません。それでは運用形態が変わると、せっかく導入したAPが使えなくなってしまいます。Arubaなら、同じAPでどのような形態にも対応できるため投資が無駄になりません」

 前述の例とは逆に、Aruba Centralで全拠点のAPを一元管理する状態から、ある拠点のIAPだけをオンプレミス型の管理に移行することも可能だ。これは障害対策においても有効な点であり、もしインターネット回線のトラブル等で一部の拠点のAPがクラウド上のAruba Centralに接続できなくなっても、IAPに備わっている仮想コントローラ機能での管理に“戻す”こともできる。競合他社にはないこの柔軟性が、導入企業からの高い評価につながっているという。

きめ細かな制御で快適な無線LAN環境を実現


 もう1つ、碓井氏がArubaの強みとして挙げるのが「Client Match」機能だ。

 多くのユーザーが無線LANに接続する場合、クライアントが特定のAPに接続し、スループットが低下するといったことが起こる。さらに、ユーザーが移動した際にAPが切り替わらず、電波強度が弱いため通信速度が遅い状態で接続し続けることもある。

 Client Matchは、これを避けるために適切なAPにローミングさせて負荷分散させる機能で、クライアントを常に最適なAPに誘導する。このほか、最適な周波数帯を選択する機能も備える。

 こうした無線LAN機能そのものの特長に加えて、Aruba製品はサポート部分も充実している。AP等は保守が必要だが、ライフタイム保証がある製品もあるので、保守費のバランスも確認することができる。さらに、オープンな仕様や技術を積極的に利用しているため、ベンダーロックインを回避できることもArubaの魅力となっている。

 最後に注目すべき動向として、最近はネットワークをソフトウェアで制御する仕組みも広まっているが、この動きにもArubaは追従している。日本ヒューレット・パッカードの天野重敏氏は「Aruba Centralでは豊富なAPIを用意しており、それを使ってユーザーが独自サービスを構築できます。米国では、大手キャリアがAruba Centralを使って大規模なマネージドサービスを展開しています。様々なレイヤーと連携してネットワークを制御できます」と説明する。

 この他、ArubaはSD-WANのソリューション展開も予定しており、さらに、ネットワークの状況を分析するAI「Aruba NetInsight」を活用して運用負荷を軽減するソリューションも提供するなど、多様化するニーズに応え続けている。

 多くの魅力を備えたAruba製品と、高いコンサルテーション/インテグレーション能力で多くの企業の無線LAN構築を支援してきたSCSKのタッグは極めて強力だと言えるだろう。両社は協業して実機を使用したデモを含む無線LANセミナーも開催している。無線LAN構築のパートナーを探している企業にとって心強い味方となるに違いない。

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ITエンジニアリング事業本部
エンタープライズ第二部
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E-mail:HPN-info@scsk.jp
URL:http://www.scsk.jp/