コマーチ 通信キャリア向けOSS/BSSに強み 自動化やe-ヘルスで社会課題を解決

少子高齢化が進む日本にとって、労働力人口の減少は避けて通れない課題だ。昨年、日本市場に参入したポーランドのソフトウェアベンダーのコマーチは、自動化ソリューションやe-ヘルスで多くの実績を持つ。日本でもこれらのソリューションを提供し、課題解決に向けてサポートする。
(左から)コマーチ・ジャパン取締役のパヴェウ・クウェチェック氏、ビジネス ディベロップメント マネージャーのウカシュ・ゼズラク氏

(左から)コマーチ・ジャパン取締役のパヴェウ・クウェチェック氏、ビジネス ディベロップメント マネージャーのウカシュ・ゼズラク氏

 コマーチという会社をご存知だろうか。

 ポーランド・クラクフに本社を置くソフトウェアベンダーで、1993年の創立以来、四半世紀にわたり世界60カ国で数千ものプロジェクトを手がけた実績を持つ。日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、海外では知る人ぞ知る存在だ。

 特に得意とするのが通信事業者向けで、テレフォニカやボーダフォン、ドイツテレコムなど各国の大手キャリアに対し、ITソリューションの設計・導入・統合を行っている。その他にも金融、医療、航空、石油販売、公共インフラなど幅広い業種をカバーしており、ERPやロイヤリティ管理、ヘルスケア向けソリューションに定評がある。

 そのコマーチが昨年7月、新たに日本法人を設立した。

 数年前から日本企業とビジネスを行う中で、「日本はプロセスの複雑化や、少子高齢化による人手不足の影響が深刻であることを認識した。これらの課題に対し、海外で多くの実績をあげている自動化などの当社のソリューションがお役に立てると考えた」と取締役のパヴェウ・クウェチェック氏は参入の背景を説明する。

 また、日本の通信業界は2020年に5Gの商用サービス開始という一大イベントを控える。5Gはグローバルで規格が統一されるため、独自仕様は通用せず、海外ベンダーとのパートナーシップが不可欠となる。「グローバルスタンダードに準拠し、マルチベンダーに対応したコマーチのソリューションは、海外ベンダーとの連携も容易に行える」(クウェチェック氏)と話すように、ビジネスの好機と捉えている。

OSS/BSSでプロセス数を大幅削減 IoT PFはカスタマーケアに強み


 コマーチが日本市場において注力するのが(1)OSS/BSS、(2)IoTプラットフォーム、(3)e-ヘルス、(4)ロイヤリティ管理だ。

 それぞれどのようなソリューションなのか。ここから紹介しよう。

 1つめのOSS/BSSは、通信事業者やデータセンター事業者を対象とする。すでに成熟化している通信市場は新規ユーザーの獲得が容易ではなく、既存ユーザーからより多くの収益を上げる方向にシフトしている。そうしたなか、通信事業者は付加価値サービスの提供による既存ユーザーの囲い込みを図っているが、「多くのユーザーを抱える事業者が複数のサービスを提供する場合、柔軟なシステムが不可欠になる」とコマーチのビジネス ディベロップメント マネージャーのウカシュ・ゼズラク氏は指摘する。

 このため、システムの簡素化やビジネスの効率化をサポートするOSS/BSSのニーズが高まっている。なかでもコマーチが重視しているのが「カスタマーケア」であり、ネットワーク障害の予兆を事前に検知し、その影響について分析を行い、顧客企業に適切な情報を提供できる点を強みとする。

 海外では多くの有名企業がコマーチのOSS/BSSを導入し、成果を挙げている。テレフォニカの子会社である独E-PLUSグループは、ネットワークプランニングや展開プロセスの複雑さという課題を抱えていた。そこでRANやトランスポート、コアネットワークのプランニングの管理をコマーチのOSSプラットフォームに一元化したところ、これまで100あったプロセス数が65に削減された。また、膨大なユーザーノウハウを「Comarch OSSプロセス マネージメント システム」に投入し、自動化レベルを上げたほか、アーキテクチャを一元化したことで、手作業による再入力やデータ移行が不要となり、業務プロセスの効率性が50%向上するとともに、ネットワーク設定ミスが減少したという。

 2つめのIoTプラットフォーム「Comarch IoT Connect」は、以下の4つで構成される。IoTサービスの構築・実装・販売をサポートする「Comarch IoT Connectivity Management」、デバイスやアプリケーション、サービスの請求書を作成する「Comarch IoT Billing」、M2M/IoTに特化したデータ分析ツールの「Comarch IoT Analytics Platform」、包括的なIoTデバイス インベントリとリソース管理でデバイスを管理する「Comarch IoT Device Management」だ。IoT分野全体に対応する包括的なプラットフォームを構築するが、導入企業はプラットフォームの中から必要なソリューションだけを選ぶこともできる。

 Comarch IoT Connectの特長が、Billing(決済)やAnalytics(分析)をリアルタイムで行えることだ。自社開発のリアルタイムプロセッシングサーバーをBSSに採用しているが、同じコンポーネントをIoTにも応用することで、高度な処理性能によるリアルタイムの決済や分析を実現することができる。

図表 「Comarch IoT Connect」のイメージ

図表 「Comarch IoT Connect」のイメージ

規制緩和をにらみe-ヘルスも提供 ロイヤリティ管理でWin-Winの関係


 3つめのe-ヘルスだが、ポーランドも少子高齢化という社会課題に直面している。加えて、医師や看護師はより待遇の良いドイツや北欧など周辺諸国に流出しており、医療機関における人材不足が深刻な課題だ。高齢者など治療を必要とする患者が増え続けるなか、ITの利活用による診療の効率化や過疎地における遠隔医療などが不可欠となっている。

 こうした観点から、コマーチはe-ヘルス事業を今後の成長分野と位置付け、注力しているところだ。事業の一環として、ポーランドのクラクフに30種類以上の専門クリニックを備えた医療センター「iMED24」を運営しており、ソリューション開発のための場ともなっている。

 日本については「今後、規制緩和が進み、遠隔医療などに様々な企業が参入することが予想される。その前に、海外で培ったノウハウを提供する体制を構築したい」とゼズラク氏は意気込む。

 日本市場向けには、「Comarch e-CAREプラットフォーム」と「Comarchカーディオベスト」を提供する。e-CAREプラットフォームでは、患者の病状を遠隔から継続的にモニタリングしたり、特定のバイタルサイン計測装置から医療データなどを受信・処理することができる。カーディオベストは、特殊な電極材料で心電図(ECG)の高品質なデータを取得し、患者固有のアルゴリズムに基づいて解析を行う。

 心血管疾患は日本でも死因の上位に位置する。カーディオベストとe-CAREプラットフォームの連携により、発作などの異常を早期に検知することで、死亡率の低下につなげられるようになる。

「Comarchカーディオベスト」

「Comarchカーディオベスト」は、軽量で長時間装着していてもアレルギーなどを起こさない独自の素材を採用している

 4つ目のロイヤリティ管理「Comarch Loyalty Management」は、顧客に関するデータを1つのプラットフォームに集めることで、精度の高いマーケティング活動を可能にする。IoTプラットフォームとの連携により、目的の店舗へのナビゲーションなど個々人に合わせたアプローチも行える。

 コマーチのロイヤリティ管理は、空港や航空会社で導入が進んでいる。

 一例が英ロンドンのヒースロー空港で、空港内の店舗やシステムを集約した結果、1人ひとりに合ったプロモーションやゲーミフィケーションが提供できるようになり、1人あたりの売上が70ポンド増えた。ユーザーにとっても限られた時間にピンポイントで目的の買い物ができるといったメリットがあり、Win-Winの関係を構築することができるという。

 5月23日(水)〜25日(金)に開催されるワイヤレスジャパン/ワイヤレスIoT EXPO 2018において、コマーチはOSS/BSSとIoTプラットフォームにフォーカスした展示・セミナーを予定している。

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