CASO 新技術のホワイトボックス開発に意欲 LTE M2Mルーターは「切れない接続」

産業界では、データ連携により新たな付加価値を創造する「Connected Industries」が新たな潮流となっている。この動きをいち早く捉えたのが、Foxconnグループでホワイトボックスを展開するCASOだ。膨大なデータを迅速かつセキュアに処理するために需要が高まるエッジコンピューティングやモバイル通信向けの製品を強化している。
武田和広氏

CASO
代表取締役
武田和広氏

 IoTやビッグデータ、ロボット、人工知能(AI)による技術革新は、そのインパクトの大きさから「第4次産業革命」と呼ばれる。

 我が国でも第4次産業革命が進展するなか、経済産業省は産業界が目指すべき将来像として「Connected Industries」を提唱している。

 Connected Industriesとは、モノとモノ、人間と機械・システム、生産者と消費者など、従来は独立あるいは対立する関係にあったものが連携することによって、新たな付加価値や製品・サービスの創出を目指すというコンセプトだ。

 重点分野である「自動走行・モビリティサービス」「ものづくり・ロボティクス」「プラント・インフラ保安」「バイオ・素材」「スマートライフ」の5分野について個別に取り組むだけでなく、データの共有・利活用、IT人材の育成、サイバーセキュリティ対策、AI開発などの横断的な取り組みを通じ、少子高齢化や労働力不足、環境・エネルギーの制約といった社会課題を解決し、産業競争力の強化につなげる狙いがある。

 例えば事業所間あるいは部門間のデータがつながることで生産性が向上するように、Connected Industriesではデータが付加価値の源泉となる。他方、膨大なデータを収集・蓄積し、リアルタイムに処理・分析しようとすると、ネットワークの負荷増大が避けられない。すでに、ネットワークの遅延や接続の信頼性といった課題も生まれている。

ソリューション提案や開発に強み FPGAやAIチップも積極的に検討


 産業界における新たな動きに伴い、「ネットワーク分野ではエッジコンピューティングとモバイル通信の需要が高まっている」と語るのは、CASO代表取締役の武田和広氏だ。

 CASOは、台湾Foxconnグループでネットワーク分野のODM/OEM事業を手掛けるCASwell社の日本法人。データセンター向けスイッチをはじめ、SDN/NFV、ネットワークゲートウェイなど様々な領域向けに、インテルx86ベースのホワイトボックス(ハードウェアとソフトウェアを分離し、用途に応じて自由自在に組み合わせられる)製品を国内で展開している。

 ここ数年、SD-WAN市場の盛り上がりに合わせてホワイトボックスの認知度も急速に高まっており、通信キャリアやISP等の間では既存のアプライアンスから、製品自由度が高く安価なホワイトボックスを活用したソリューションに置き換える動きが見られるという。

 さらに、CASOではエッジコンピューティングやモバイル通信といった市場のトレンドに対応すべく、新たな取り組みを始めている(図表1)。

図表1 様々なホワイトボックス製品によるエッジコンピューティングの実現

図表1 様々なホワイトボックス製品によるエッジコンピューティングの実現

 まずエッジコンピューティングにおいては、LTEやWi-Fi機能を搭載し、JATE認証やTELEC認証を取得したホワイトボックスの販売を昨年から開始した。

 加えて、エッジ側でデータを保存できるようにNASも提供している。「ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたソリューション提案や開発を行えるのが他のODM/OEMベンダーにはない強み」(武田氏)と話すように、顧客からの要望に合わせて、NASにソフトウェアを追加するなどのカスタマイズにも対応することができる。

 利用用途により適したホワイトボックスが欲しいというニーズの高まりを受けて、インテルのFPGA(購入者や設計者がハードウェアを再構成できる集積回路)やAIチップを搭載したホワイトボックスの開発も積極的に検討している。

 インテルはFPGAメーカーの米アルテラを買収し、FPGAとx86を統合したプロセッサを提供する計画だ。「IoTの本格化で通信キャリアやデータセンター事業者の間では、より効率的にデータを処理するニーズが高まるだろう」と武田氏は見るが、FPGA搭載のホワイトボックスが実現すれば、ビッグデータを従来よりも高速に処理できるようになる。

異なるネットワークを安全に接続 SD-WANによりクラウドで一括管理


 さらに、モバイル通信を活用したソリューションとして、香港Peplink社のIIoT(インダストリアルIoT)向けLTE M2Mルーターの取り扱いを今年4月から開始する。

PeplinkのLTE M2Mルーター

PeplinkのLTE M2Mルーターは、「切れない接続」やSD-WAN対応など充実した機能を備える

 同ルーターはマルチSIMを搭載し、4枚のSIMでアクティブ/アクティブ/スタンバイ/スタンバイの構成が可能。特許取得技術「SpeedFusion」により、有線/無線の異なる複数のネットワークインターフェースをパケットレベルでボンディングし、暗号化された1つのWANとして利用できる。これにより、「Unbreakable Connection(切れない接続)」を実現する(図表2)。

図表2 異なるネットワーク回線を安全に接続しコネクテッドインダストリーを実現

図表2 異なるネットワーク回線を安全に接続しコネクテッドインダストリーを実現

 シームレスにネットワークが切り替わるので、パケットロスやネットワーク断による通信品質の低下を防ぎ、VoIPや動画でも安定した通信が可能になる。最大で18SIMスロットを搭載した機種の場合、中継車のリアルタイム配信などの用途を想定している。

 ルーターはSD-WANにも対応するので、クラウド上で一括管理することが可能。ファームウェアの更新や帯域制限、デバイスごとの利用状況の可視化なども行える。

 GPSのほかマイナス40℃〜65℃の拡張温度対応、耐振動、防爆対応、鉄道規格EN50155への準拠、RS232Cポートの搭載など、ハードウェア本体の機能も充実している。

 これら多様な特長から、海外では幅広い業種で導入が進んでいる。

 例えば米国など専用線の料金が高い国ではMPLS-VPNからの移行需要が多く、なかには毎月約50%ものコスト削減を実現したケースもあるという。香港や台湾では、バスや観光船の乗客向けWi-Fiサービスに活用されている。このほか、自動販売機や駐車場の管理、工事現場などにおける即時インターネット接続といった用途もある。

 国内では、主にテレマティクスや運行管理、位置管理など車載無線システムとして展開する。クレジットカード業界のセキュリティ基準PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)にも準拠しているため、2024年のISDN終了を前に、ATM用回線の代替需要も見込んでいる。

 Connected Industriesの実現に向け、インテルx86ベースのホワイトボックスにとどまらないラインナップを揃えるCASOに要注目だ。

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株式会社CASO
TEL:03-3526-2583
E-mail:info@caso.co.jp
URL:http://www.caso.co.jp/